3話 ページ27
旅館までは駅から歩いて20分。
迎えの車は断っていた。景色を眺めながら行きたかったから。
でもそれで正解で、南に広がる雄大な海と、北側に見える山の緑が綺麗で、たくさん癒されることができた。
新しい景色を見る度、そしていつもと違う風の匂いを嗅ぐ度に、旅行に来たんだなって実感出来た。
二人で旅館までの道をのんびり歩いた。
｢あったけぇ｣
｢そうだね。タンポポとかもう咲いてそうだね｣
｢タンポポ？｣
｢春が来たこと、道端のタンポポで感じたりしない？｣
｢･･････なんだろ。匂いとかかな。春の匂い｣
おーちゃんは、そう言って眩しそうに日差しを手で避けた。
カッコイイ横顔だな･･････。
でもよっぽど眩しかったのか、被ってたキャップを目深に被り直してた。
｢サングラス欲しい･･････｣
｢お土産屋さんで売ってるかもね｣
｢A持ってきてない？｣
朝日を浴びるためのサングラスのこと？
私は恥ずかしくなりながら持ってきてないって答えた。
あれにはあまり触れないで欲しいんだけど。
･･････赤いパジャマにサングラスをかけた姿で早朝から意味不明にベランダに立つ女。
まだ挨拶も交わさない頃におーちゃんにその姿を見られていたと言う事実は未だに私の汚点でしかなかった。
｢ねぇのかぁ｣
私の気持ちなど露知らずの顔つきで、のんびり残念がるおーちゃんは多分、本当におおらかで優しくて、人とは価値観の基準が違ってることが多いんだろうなって思う。
私達の価値観が違っても今のところうまくいってるのは、おーちゃんが他人に自分の価値観やこだわりを押し付けないせいだと思う。
それって凄いことだ。みんな、共有したがるし、理解して貰いたくなるものなのに。
私はおーちゃんの背中を頼もしく見つめた。
これから四日間、ずっと一緒だと思うと幸せ過ぎて辛くなるくらい、私は最初からこの旅に感動していた。でもそう感じるたび、すぐに反省もしている。
おーちゃんの卒業旅行なんだからおーちゃんに楽しんでもらわないといけないのに、私ばかりが感動してるみたいで心苦しかった。
おーちゃんも楽しんでるとは思うんだけど。現在、私ほどではなさそうだ。
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちは。主人公ちゃんいい子なんで、たまに黒くしよう黒くしようとしてるんですが、なかなか染まってくれません。恋人が素敵だからでしょうか。私も青色さんに綺麗な色にしてもらいたいです！ (2019年2月26日 16時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - もちろん、こちらも拝読致しております！主人公ちゃんの清く芯のある人柄が凄く素敵ですねー！こちらも見習う事が多々ありまーす。感謝の気持ちって、ホント大事ですよね。 (2019年2月25日 18時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - わー、cocoro様コメント嬉しいです。お元気でしたか。何度も読み返したくなるようなお話を頑張って作るので、是非遊びに来てくださいね。一緒に楽しみましょう！萌えてくださーい。 (2019年2月25日 9時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさん、お久しぶりです。またこの子達に会えて嬉しいです。私はこれからも、いやもしかしたらこれまで以上にここに糖分補給に立ち寄るであろうと思われます(笑)。また一緒に楽しませてください。 (2019年2月24日 20時) (レス) id: 8d2a7d356c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお
| 作成日時：2019年2月19日 20時
