57話 ページ32
ニノと水谷さんはデート中に、部活で学校に来ていた生徒から私が先輩とここにいるとの連絡を聞いて、走って駆けつけたんだそう。
｢先輩のこと知ってる人ってもう少ないのに。やっぱり先輩って人気者だったんだね｣
私が感心して言ったら、みんな微妙な顔をするから不思議に思って尋ねたら、私もなかなか目立ってるって言われて怖くなった。
多分三味線のことで目立ってるんだろうけど。あとは、おばあちゃんの威光とか。
でも本人の知らないところで目立つって怖くて、何だか背筋が寒くなった。
いい意味で目立ってることを願うけど･･････。
そのあと、先輩は忙しいみたいで海外にとんぼ返りするらしくて、名残惜しかったけど笑顔で手を振って別れた。
気がつくと、私は何故かニノと水谷さんの間に挟まれて立ってて、どうしてカップルの間にいなきゃならないのって、居心地の悪さもあって、もう二人に別れを告げて帰ろうとしたの。
なのに引き止める水谷さん。
｢一緒にお茶でもしていかない？｣
･･････一瞬、やっぱり水谷さんは怒ってるんだろうかと思ってしまった。デートを邪魔したし、彼氏を熱くさせてしまったから。でも水谷さんは至って普通で、むしろ歓迎してくれていて。
水谷さんは本当に聖母なのかもしれない。
｢やっぱり帰るね｣
二人を見ているのは思いのほか辛かったから。
｢二人とも、もうあんまり時間がないんだし、少しでも二人きりで一緒にいたいでしょ？｣
言葉にするほど、胸が痛んだ。
早く立ち去りたい。
なのに、水谷さんは無碍に告げた。
｢それなら大丈夫。Aちゃんに言ってなかったかしら。私も留学するのよ｣
｢え･･････｣
頭が真っ白になった。
｢カズと一緒に日本を出るの。留学先も一緒。一緒に住むのよ。だからそんな心配はしなくていいのよ｣
にっこり笑う水谷さん。
私は心臓をナイフでひと突きされたような錯覚を覚えた。
水谷さんはにこっと笑ってるんだけど私は一つも笑えなかった。
なに、これ･･････。
心が冷えていく。
真冬の凍てつく戸外に裸で放り出された心地で、私は呆然とした。
｢Aちゃん？ どうかしたの？｣
｢あ、いや･･････｣
言葉が出て来ない。
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ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、キュンとして貰えて良かったです〜。今日の更新もしてもらえるといいな。次回最終回です。お楽しみに！いつもありがとうございます！コメント貰えてとっても幸せです！ (2019年2月20日 8時) (
レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - ありがとうございます。ニノがやっとホントの笑顔になれましたね！最高に可愛い言葉選びにキュンとします！ (2019年2月19日 22時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様、おはようございます！さてさて、今日の更新もにやける一日のスタートにしてもらえるといいんですけど。私は更新前からにやけています。今から更新作業します。待ってて下さいねー。 (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - さとあすさん» さとあす様、待って下さってありがとうございました。お話を載せる準備は出来ていたのですが、気持ちが追いつかず。でも次第に妄想は今までの以上に溢れ出して。妄想が自分を引き上げると感じました。ありがとうございます。青さんのいいのあるんで、待ってて下さいね！ (2019年2月19日 8時) (レス) id: a016946e50 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - おはようございます！朝から切なく、もどかしさからのにやける１日のスタートになりました！ (2019年2月18日 9時) (レス) id: 53337431dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年2月12日 13時
