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武州時代、道場で近藤さんに教わったことがある。
[相手が自分より格下であろうが油断は禁物。
しかし、相当な手練れであっても動揺を悟られてはいけない。]
顔も見えないが、この状況でなんの焦りも見せない、至って普通を装う人だから場慣れしているに違いない
そんな相手に小細工は通用しない。
なら、出るしかないだろう。
『…随分物騒ね、私が何かしたかしら。』
恐れを気取られないように強気で
障子の前に立つ
「へえ。面白いね、アンタ」
面白いとは他の女なら逃げ出すのに、ということかな
生憎心臓バクバクだっつーの。
そんなことを思う間に
相手が動く気配がする。先手必勝…‼
バンッ‼
首を狙って伸ばした私の手は、届かずに弾かれた
外れた障子、その隙間から月光に照らされて光る
___サーモンピンクの髪
…あれ?
この色…わたし、しってる…?
どこで?昔、この髪…
__ズキッ
『⁉』
急に痛んだ頭に、呆けた思考がもとに戻される
あ。ヤバい、油断した、、、
やられる⁉
ギュッ『…ッ‼』
攻撃に備えて、私は咄嗟に目を瞑った。
「…⁉」
相手からは攻撃はなく
そのかわりに、何故か
息を飲むような、そんな声が聞こえた気がした。
目を瞑っていた私からは当然表情も見えなかったが、
『…?』
「酷いなぁ。
久々の再会なのに、それはないんじゃないの。
_________Aちゃん?」
久々…?それどういう、それになんで名前…?
疑問が殺到してうまく言葉が出てこない、
なんとか声を捻った
『ッあ、あの…』「ん?」
そのとき、
近「Aちゃん、いるかァァァ⁉
てか、暗ッ⁉なんで⁉オーイ!!!!」
タイミングが良いのか悪いのかよく分からない近藤さんの大声と、ドカドカと近付く他の隊士達の足音が
みんな帰ってきた…
途端に安心に包まれる私
目の前の彼はそうもいかないだろう。
「…チッ、面倒だなァ。また来ることにするよ。
そのときまでには、ちゃあんと思い出してね?」
名乗りもしない謎の男は、最後まで意味深な言葉を残して闇夜に消えた。
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ミュウ - 続きが気になるぅぅぅ (2020年10月31日 22時) (レス) id: 952d396015 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - ありがとうございます。頑張りますね。これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年12月14日 21時) (レス) id: 47e245d859 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 凄く面白いです!更新頑張って下さい! (2017年12月14日 20時) (レス) id: c20e76bf92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくわ餅 | 作成日時:2017年8月31日 22時