いとおしいね、

俺だって姉を守りたい ページ36

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この人は俺の味方だって、物心ついた時にはもう理解していた。


いつだって傍にいてくれるし、何かあったら誰よりも先に気づいてくれる。

俺が泣いていたら必ず手を差し伸べてくれて、その手を取る度に思った。この手の温もりが大好きだって。

｢大丈夫だよ｣と言って俺の手を引く姉の後ろ姿は大きく見えた。姉は俺を守ってくれる人なんだと、姉がいてくれたらそれでいいと思った。



でも、俺が姉と同じ小学校に上がった時だった。

いつも通り一緒に帰ろうと思って約束の待ち合わせ場所に行ったけど、そこに姉の姿はなかった。｢いつもなら姉が先に着いているのに｣と俺は不思議に思っていた。



校舎に戻って姉の教室へ行くと、姉は一人、席に座って泣いていた。姉が泣いているところはその時初めて見た。

吃驚しながら姉の元へ駆け寄ると、姉は驚いた顔をした後、すぐに泣き止んで｢大丈夫だよ｣と笑う。

結局、なんで泣いていたかはわからなかったけど、姉が無理をしていたことは小さい俺にもわかった。


隣を歩く目元の赤い姉を見て、俺が守らなきゃと思った。姉の手を繋いで、｢大丈夫だよ｣と言うので俺は精一杯だった。

ただ、俺はずっと姉の味方なんだと、わかってほしかった。









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