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_Ryuto side_
最近よく、自分の唇を触るようになった。
隼には"なに、欲求不満なの?"とニヤニヤ笑われる始末。
それくらいよく唇を触っているみたい。
違う。欲求不満とかそういうわけじゃなくて。
僕がただ単に、Aの唇の感触を思い出しているだけ。
離れたくないとか、寂しいとか。
散々苦しめて傷つけたくせに。僕は自分勝手だと思う。
でもやっぱりAに伝えたように、Aが足りない。
僕が楽屋を出る時、周りに気を取られず作業に集中してるみたいだったから何も言えずじまい。
結局気になって、時間を置いて戻ってきたら机に突っ伏して寝てるし。
予めコンビニで買っていたりんごジュースをそばにおいて、心の中で"お疲れ様"と呟く。
「...嫌いにならんといて」
自分は他の人と付き合っているくせに、僕に片想いをする彼女を離したくない。
彼女が僕を好きでいることをやめるのが怖い。
嫌いに、ならないで。
寝ている彼女の唇にそっと自分の唇を重ねて、楽屋を出た。
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ちょりこ(プロフ) - なかなか龍友の話が見当たらなくてのこのお話はとても面白かったです! (2020年2月25日 8時) (レス) id: 5d7662bc4f (このIDを非表示/違反報告)
る - すごく好きでした! (2019年3月26日 10時) (レス) id: 00700fe21d (このIDを非表示/違反報告)
心音(プロフ) - 全て読ませていただきました! とても良いお話でした!! (2019年3月25日 1時) (レス) id: f04cf3a636 (このIDを非表示/違反報告)
釈迦で~す推し。 - お久しぶりです。 もう、涙が止まりませんでした。 とにかく裕太君が優しすぎて、龍友くんが切なすぎて… 色々言いたいことはありますが、こんなにも最高の作品を書いてくださりありがとうございました! (2019年3月17日 1時) (レス) id: ec1ebb61a0 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんあや(プロフ) - 最っ高によかったです!forYou…も大好きな曲だし龍友くんも大好きだし、なにより裕太くんの優しさに持っていかれそうになりました笑 (2019年3月12日 23時) (レス) id: 9e0d1bf52d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵子 | 作成日時:2019年2月23日 21時