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「ふふ、可愛いやつやなあ」

『...なんか褒められてる気がしません』

「えー?ほんまに可愛いと思ってんのに、」



くすくす笑う声が耳を掠めて擽ったい。

少しの時間沈黙する私たち。聴覚に神経が集中してしまっていたから、私は拾ってしまった。



『...龍友さん、?』

「ん?」

『車の音するんですけど、もしかして外にいますか?』

「...まあ、な。」



風邪引いちゃう、とか。夜道は危ないですよとか、言いたいことはあったけど、真っ先に考えついたのは龍友さんの想い人のこと。


『...当ててあげましょうか』
『篠田さんと会った帰り、ですよね』



嘘であって欲しいと願いながら、そうに違いないと理解してしまう私。

この前、約束してたもんね。


仕方ない。彼女だからと言って仮みたいなものだし、いつも私が優先されるわけじゃないんだから。

納得しろ、自分。スマホを握る手に力が入る。



「...ん。」
「優と飯行ってきた、」

『...ですよね。』


すんなりと言われた言葉は、仕方ないと思い込んだくせにショックで。

自分のメンタルの弱さに笑えてきてしまう。



「なのに、」

「なのにAのことばっか、頭に浮かんできてん。」


『...え、』



新たに龍友さんが放った言葉に、私はすぐ対応できなかった。


「だから、今Aに電話してる」


『......っそれは、なんですか、?私とも程よく付き合っておこうっていうお情けみたいな、』

「ちゃうよ。」
「お前のこと、考えてん」



真剣な龍友さんの声に私は一瞬電話を切ろうとしたが、切る勇気もない。

結局私が口にしたのは突き放すような冷たい言葉。


振り返るつもりがないなら、いっそのこと切ってくれって。

可愛げがなくてポジティブでもない私は捻くれてものを言ってしまう。



「僕にもこの先どうするかわからへん。」
「わからんくらいに、Aのことも想ってる」

『...ぽっと出の割には頑張れてますかね、』


「...うん、十分。」









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aggy(プロフ) - 続編楽しみにしております!裕太くんもっとぐいぐい来て欲しいですな(願望)でも、龍友くんも捨てがたい、、、(笑)今後の展開、ドキドキと楽しみにしております! (2019年2月17日 23時) (レス) id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
柑奈(プロフ) - 数原の愛が重すぎるも愛故にも賞味期限も全部見てます。面白いです(^^)たまーにTwitterも見させていただいてます (2019年2月4日 23時) (レス) id: 98015c6442 (このIDを非表示/違反報告)
lalagirl(プロフ) - ゆゆゆゆゆゆゆうぴ、、、おっっっとこ前過ぎてニヤニヤが止まりません笑 (2019年2月4日 22時) (レス) id: 479fcf4487 (このIDを非表示/違反報告)
aggy(プロフ) - やばい、裕太くんが男前すぎて、いっそ龍友くんより裕太くんとくっついて欲しくなって来ちゃいました(え)続き楽しみです(●´ω`●) (2019年2月4日 22時) (レス) id: 4fbf4fb7f7 (このIDを非表示/違反報告)
しゅんしゅん - 最後のオチは数原がいいです (2019年2月4日 17時) (レス) id: 45de7b88df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葵子 | 作成日時:2019年1月13日 14時

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