愛故に。

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『すいません、ビール1つ』



ほとんど貸切の状態で店中に響く騒がしい声。

それを横目に、私は端の方で静かに自分のペースで飲んでいた。


5人は固まっていつもみたいに飲んでる。

亜嵐さんはスタッフの方と。


...中務さんは工藤さんと。



私の座ってる位置からじゃ嫌というほどはっきり見えてしまう。

胸の痛みを掻き消すようにビールを流し込んだ。




「あーあ、飲みすぎやない？」

『普通ですよ、これくらい』

「ほんまに酒強いなぁ」



ストン、と私の前の席に腰掛けた龍友さん。

いつも私がお酒を飲んでると、こうして心配してくれる優しいお兄ちゃんみたいな人。



「...やけ酒？」

『そんなところです、』

「恋煩いかー」


『...相談、してもいいですか？』

「ええでー！うわぁ、女の子と恋バナやぁ！！」




龍友さんはとても笑顔で何故か嬉しそうに、キャピキャピ(？)してる。

いや、結構飲んでるの龍友さんじゃん...。


中務さん、だとは言わず名前を伏せながら今の複雑な気持ちを告白した。




「なるほどなぁ...。」

『少し複雑で、』


「Aのええところは真っ直ぐで、自分に素直なところや」

「だから裕太くんにもいつも通りのAで接してあげたら大丈夫やって。」


『...っえ？！中務さんって私言ってな、』

「見てたらわかるでー。」



龍友さんの言葉に胸をうたれた。

のはいいんだけど、中務さんってバレてしまった...。


私ってそんなにわかりやすいのかな。




『すいません、ちょっとお手洗い行ってきます』

「おーおー代わりに俺が飲んどくわ」






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