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戻ろうって言うのかと思ったら。
「・・・はい。あげる」
ショータが、
ポケットからココアの缶を出してきて。
私のほっぺたにくっつけてくる。
ちょっと。
こんな事されたら。
胸がきゅんきゅんで苦しいんだけど。
好きでもない女にこれは。
彼女持ちのくせに。
だけど、憎めない。
嫌いになれない。
「ありがと」
プルタブ引こうとして、
手がかじかんで、うまくいかなくて。
「A先輩、案外、不器用やねんな」
ショータが開けてくれた。
どうしたらいいの。
ときめき過ぎて、
呼吸困難に陥りそう。
ごまかすみたいに、
ココアを飲む。
甘い。
「今日、めっちゃ楽しみ。
A先輩に会わせたい人もおるねん。
やから楽しみにしといて」
「うん・・・」
会わせたい人？
結衣ちゃんかな・・・
付き合ってるのは知ってるのに。
わざわざ会わせるっていうのも変だけど。
他に思い当たらないし。
急に気持ちが落ち込むから。
私ってダメダメだな。
「どうしたん？
なんでしゅんてなるん？
楽しみちゃうん？」
ショータの笑顔が曇った。
気付かれるなんて、職場の先輩失格だ。
「ううん。
すっごく楽しみにしてるよ。
チケット、本当にありがと。
ショータのおかげで、
クロスザスカイのことも詳しくなったし。
思いっきり楽しめると思う」
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2017年7月7日 9時
