9:〃 ページ9
「ほら、あーん」
「な、なんの冗談だ？」
「いいから、はい！」
そういって驚いて口を開きっぱなしの彼の口の中へとポケモンフードを放り込むと、ホップは益々目を見開いた。
しかし悪戯で私がやるとも考えられないのか、それとも私が好きな人だからなのかホップは決して吐き出すことはなく、――じきに舌から口の中に広がる甘味に目を見開いた。
「――ん、え？！」
ホップは驚きながらも恐る恐る口を閉じて歯で噛み砕くと、ぱっと花咲かせるように笑みを浮かべた。
「うまい！なんだこれ、ポケモンフードなのにすごくうまいぞ？！」
「ふふ、面白いでしょ。これはまだ試験段階のものなんだけどね、ポケモンとトレーナーが一緒に食べることが出来るおやつ用ポケモンフードなの。」
「はー……おやつだから甘いのか…。」
「そう、…あ、もちろんポケモンもトレーナーも食べられる材料を使ってるから安心してね。」
「しかも普通に…いや、かなりうまいのがすごいぞ。」
「まぁ食べるなら美味しく食べたいですから。そんなことより、ザマゼンタにもあげてみたら？」
そういうとホップはでも、と躊躇した。
「あら、ホップらしくないじゃない。」
「だって、これも食べてくれなかったら…」
それはやらないと分からないわよ。とそう言葉を続けるとホップはポケモンフードを手にとり、それを暫く眺めたのちザマゼンタへと視線を移して直接口の前に手を出した。
ザマゼンタは口元にやられたホップの手に鼻を寄せて数度匂いを嗅ぐと、一度ホップを見つめた。それからポケモンフードを舌で掬い口の中へといれると、また小さくホップに向けて鳴くと、ポケモンフードを要求するようにホップの手のひらに頭を摺り寄せる。
「…た、食べた！食べたぞ、A！！」
そう言ってホップは感激さを隠すこともなく、ザマゼンタの顔をぎゅうっと抱きしめた。
よかった、本当に良かった。そう小さくも、何度も繰り返すさまに彼は本当に優しい少年だとそう心がじんわりと温まる感覚を覚えたが、それはザマゼンタも同じらしい。
ザマゼンタも目を細めては「ウォン」と鳴いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ポケットモンスター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モモ - ネズさんまだかなぁ〜 (2020年1月1日 12時) (携帯から) (
レス) id: 28273e2d77 (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - かっちゃんさん» ありがとうございます！ゆっくりではありますが楽しく書きたいと思います^^ (2019年12月30日 23時) (レス) id: 72a7a46fdc (このIDを非表示/違反報告)
かっちゃん(プロフ) - すごく読みやすいです！！！更新､楽しみにしてますね！！ (2019年12月28日 20時) (レス) id: 17dcb00d4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青 | 作成日時：2019年12月24日 13時
