12:(終) ページ12
「むぐ、ん、ぐっ…ト、トライアンドエラー?」
「そ、トライアンドエラー。何度も挑戦して、失敗してを繰り返して結果を弾きだすの。それがトライアンドエラーよ」
「トライアンドエラー…」
「成功ばかりする研究者なんていないの、私だってポケモンフードの研究と開発してるけど……ホップだっていっぱい失敗作食べたでしょ?」
一番わかりやすい例を出すと、ホップは幾度となく食べた失敗作を思い出し口の端を引きつらせて「あ、あれは…美味しくなかったぞ…」と言葉を漏らした。
「でしょ?私もたーくさん失敗して、でも今がある。だから、頭を抱え込むんじゃなくてホップの経験にしちゃいなさいな」
「…!おう!」
ホップはまた花咲かせるように笑う。
ああ、私は彼のこの真っ直ぐなところが好きだ。好きだといってもそれは弟のように見て――なのだけれど、でも、その真っ直ぐなところに酷く胸を打たれるのだ。
私もホップの笑みにつられて、頬を緩めるとホップの顔がずいと近づく。
「ありがとな、A。やっぱりおれAが大好きだ!」
「へ、あ?!」
そういって両手を後頭部にやって、ニシシと悪戯に笑うホップ。
突然の言葉に間抜けな声を漏らす私。そんな私をよそにホップは言葉を続けるのだ。
「うん、やっぱりおれAが好きだ!兄貴やあの二人みたいには目立たないかもしれないけど、だからといって諦められない。」
「いいか、A。おれは今まで弟みたいな存在だったかもしれないけど、俺は一人の男としてがんがんいくから、覚悟してほしいぞ!」
目の前に近づいた顔はやっぱり花咲くように、いや、太陽のように笑う。
その真っ直ぐさが眩しいのだけれど、彼はいつからこんな表情をするようになったのだろう。これじゃあ本当に私のことを好きみたいじゃないか。
先ほど言った通り私はいままでホップのことを弟のように思っていた。
それに彼も私のことを姉のように慕っていてくれていると思っていた。
だから彼が私のことを好きだといったのも姉として好きなのだと。likeをloveだと勘違いしているのだとそう思っていたから、ホップからの告白はあまり深く考えていなかったように思う。
なのに、なのにだ。
今やけに顔が熱く感じるのは太陽に照らされたからなのか――それとも。
ホップは困っているらしい(終)
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モモ - ネズさんまだかなぁ〜 (2020年1月1日 12時) (携帯から) (レス) id: 28273e2d77 (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - かっちゃんさん» ありがとうございます!ゆっくりではありますが楽しく書きたいと思います^^ (2019年12月30日 23時) (レス) id: 72a7a46fdc (このIDを非表示/違反報告)
かっちゃん(プロフ) - すごく読みやすいです!!!更新、楽しみにしてますね!! (2019年12月28日 20時) (レス) id: 17dcb00d4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青 | 作成日時:2019年12月24日 13時