君にロックオン！【青根高伸】 (ページ6)

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6.不思議な二人の時間ページ6

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「傘………ありがとう」

私は彼に傘を返した。
彼は小さく頷く。
本当に、口数の少ない子だな。
それとも、私が年上の大人だからかな。
男子高校生が年上の社会人の女と話すことなんて、ないだろうからなぁ。

「俺の親父もお袋も、酒が好きだ」

かと思いきや、急にそんなことを言い出した。

「沢山飲んでもあまり酔わない。
でもあんたは酒、弱そうだ。あまり飲まない方がいい」

「へえ………そんなに喋れたんだね」

低くて、あまり大きくない声が心地いい。

「私ね、武居Aって言うの。君は、なんていうの？」

「青根……高伸」

「へえ………青根くんていうんだ」

酔っていることもあって、私は饒舌になっていた。

「あ……私、次降りなきゃ……」

自分の家の最寄り駅が近づいてくる。
今日は、君の名前を知れてよかった。
話ができてよかった。
会社であった嫌なことも、全部忘れられた。
駅につくと青根くんも立ち上がった。

「え？青根くんもこの駅なの？？」

青根くんは無言だ。
駅を出ると青根くんは私を抱き抱えた。

「送る。家はどこなんだ」

どこまでも親切で……なんて男らしいんだろう。

「ちょっと君！何やってるんだ！」

急にお巡りさんに話しかけられる。
まずい………未成年の高校生の男の子こんな時間につれ回して………
もしかして私捕まる！？
それはやばすぎる………

「君、伊達工の制服だけど本当に高校生かい？彼女は知り合いなの？どこにいくつもり？」

………青根くんの方があやしまれてる………。

「知り合いです！！！」

私は慌てて叫んだ。