07-心にも無いことを ページ8
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ガシャン、
何かが割れる音がして片割れの真っ暗な部屋を覗けば、ベッド脇に投げ捨てられた間接照明とベッドの中心で寮服を着たままうつ伏せになっているフロイドを確認した。
数刻前のAさんとの出来事から、フロイドはずっと"ああ"だ。
「貴方って人は…好きな子を泣かせて楽しいですか…！」
珍しく怒った様子のアズールが考えなしにフロイドに放った一言で、彼はへたりと調理場に膝をついて放心していた、ほんの僅か数時間前。
それから再起不能になった片割れを部屋まで運び込んでそっとしておくと、次はこうだ。
「フロイド、物に当たるのは感心しませんね」
「………………」
まあ、当然の様に返事が返ってくる筈もない。
その代わり、パチンと電気を付ければ、枕に埋めていた瞳がギロリと僕を睨んだ。
今回の騒動は彼がAさんに余計な一言を言ったことから始まっている。
ともすれば、このすれ違いは不器用なフロイドが素直になれるまで終わらないだろう。
「言い方はキツかったかもしれませんが、アズールの言い分は正しかったです。貴方だって分かってるでしょう」
「っせぇ…分かってるよ…！」
「素直に誰にも聞かせたくないと仰れば良かったのに」
「じゃあジェイドは好きなコに素直に好きって言えんの！？ 他に好きなやつが居んのに！」
「言えますよ」
僕はAさんに特別な感情を抱いているわけではないが、もし僕がそうならきっと外堀を埋めて彼女から言わせているだろう。
兄弟なのになぜ恋愛に関してはこうも価値観が違うのか理解できない。
困りましたね。
……不意に、外の風が入ってきて後ろを振り返る。
どうやらアズールが入ってきたようだった。
「フロイド」
「……………今、アズールの顔見たくねえ」
「先程は僕も考えなしに暴言を吐いてしまい申し訳ありませんでした。ですが訂正するつもりは毛頭ありません」
「……何。ケンカ売りにきたワケ？」
「いえ。ただ、忠告しに来たんですよ。あまり不器用が過ぎると、他の誰かに取られてしまう、とね」
びく、うつ伏せのフロイドの指先が動いた。
明らかに動揺を見せた様子。
やがてむくりと起き上がったフロイドは、ぼさぼさの頭をそのままに口を開く。
「………別に、アズールなら……いいよ」
「は？」
「付き合ってんでしょ？ ……Aと」
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます！高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました！何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます！ (2021年10月6日 11時) (
レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました！ (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます！そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…！そう言って頂けて感激です！監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします（笑） (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう！ (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ１００さん» 最後までご愛読ありがとうございます！オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…！ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2020年8月3日 1時
