46‐サプライズ ページ47
.
「私? 今日はバイト休みだよ」
「いえ。放課後、フロイドからモストロ・ラウンジに来るようにとの伝言を預かりました」
「お店に? 何の用事かな」
「さぁ。それは何とも」
このジェイド先輩の顔は全てを分かってる顔だ。
この1年間で、ジェイド先輩が一番お茶目だってことに気づいてからはまた一段と打ち解けられた。
今じゃ先輩相手に砕けた口調でお話出来ている。
それにしても、フロイドが改まって用事なんて本当に一体何だろう。
いつもなら大事な事は一番に報告してくれるのに。
「不安そーな顔して。お前ほどあの先輩に愛されてる女子いねーぜ?」
「そうだA。お前の事を一番に思ってくれてる自慢の恋人じゃないか」
「それは……そう、だけど」
そんな風に他人から言われると少し恥ずかしい気持ちも芽生える。
確かに、フロイドは付き合い始めてから本当に人が変わったみたいに私の事を思ってくれていた。
元々優しかったのに拍車がかかって、もはや過保護になってるくらいだ。
そんなフロイドの、放課後の呼び出し。
何だか付き合う前に戻ったみたいで、少し緊張してきた。
「ま、どーせ悪い事じゃねえだろうから今から期待しとけよ」
「うん。そうする!」
エースにそう言われて、特に深入りする事無く迎えた放課後、17時。
いつもの活気を忘れたモストロ・ラウンジの前で一人、私は扉に手をかけて深呼吸した。
そしてゆっくりと扉を開ける。
「お邪魔しまぁす……」
もう入り慣れた筈の店内は真っ暗だった。
窓からの光も、今はカーテンに仕切られて一切の侵入を阻止されている。
まだ暗闇に慣れていない目でよたよたと歩きながら、ゆっくりと広間の方へ進んでいった。
「フロイド…? どこにいるのー…?」
こんなに暗いとどれだけ見知った場所でも不安がよぎる。
それに、待っている筈のフロイドも全く気配を感じない。
とりあえずスイッチを探そう。
電気をつければてがかりはある。
一人で思索しながら壁伝いに、手探りでお店のスイッチを探した。
固い感触にぶつかって、恐らく電源であろうそれを指で押す。
ぱちん、
軽快な音と共に店内に明かりが生まれて、久々の光に目が少し眩んだ。
だけどそれも一瞬。目の前に広がったのは、バルーンや飾りで彩られた可愛い店内。
「うっわぁ…………!!」
何、これ。すごい。可愛い。
目の前の見たことない店内に目がチカチカした。
.
880人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時