04-素っ気ない態度は ページ5
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_その日のモストロラウンジ。
店に着くと大きな背中がフロントで接客をしていた。
ジェイド先輩だ。
今日は私もホールだからジェイド先輩が一緒で安心する。
「A」
休憩室の扉に手をかけた時、キッチンから私を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると、そこには誰よりも大きい背の大好きな人。
フライパンを片手に、しっかりとこちらを見るフロイド先輩と目が合う。
「今日キッチン入って」
「…っえ、でも私、今日は……」
「オレの言うこと聞けねーの?」
「……っすみません、」
ギラつく瞳が、私を嫌いなのだと物語っていた。
好きな人から嫌われるのは、胸が痛い。
悟られないようにぺこりと一礼して、今度こそ休憩室に逃げるように駆け込んだ。
「_お疲れ様……です…」
「ん」
キッチン側の制服に身を包んで時間ぴったりに出勤する。
今日は人が少ない。客も、バイトも。
キッチンは私とフロイド先輩の他に3人だけだ。
ホールも、ジェイド先輩と他の人で悠々とまわしている。
先程の一件もあって少し控えめにフロイド先輩に挨拶をしたけれど、嫌いどころか関心なさそうに鼻を鳴らされただけだった。
「オーダー入ります」
「あー…アクアパッツァ、ホタテ入りガスパッチョ、ムール貝のペスカトーレ、オールワン」
「かしこまりましたー」
ジェイド先輩の持ってきたオーダー表を、フロイド先輩が読み上げる。
その横顔をちらりと見ても、目線が重なることはなかった。
仕方なく料理に取り掛かる。
冷蔵庫から取り置きの白身魚を取り出してフライパンにオリーブオイルを引き、熱されるのを待つ。
「ジェイドぉ、先に前菜持ってって」
「はい、かしこまりました」
先輩はその大きい手で前菜を小鉢に盛り付けている。
あんなに図体が大きいのに、すごく器用だ。
腰を折り曲げて作業をしている所がまた可愛い。
ぱちち、と音がして、フライパンのオリーブオイルの温度が高くなっていた。
「温め過ぎちゃった」
よそ見していたせいでオイルがサラサラになってる。
キッチンなんて久々だから細かい作業が若干曖昧だ。
ま、いっか。アクアパッツァは比較的簡単な料理だし、フロイド先輩に聞かなくても大丈夫だよね。
そんな呑気な事を考えながら、水分の残る白身魚をフライパンに投下した時だった。
「熱ッ……!!」
魚の水分と油が撥ねて、熱が頬にぱちんと飛び散った。
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時