39-勝敗はついていた ページ40
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A
今日も今日とて、人気者のユウちゃん。
周りには沢山の友達がいる。
対して私はただの一人。
それに、泣きはらして酷い顔をしてる。
「どうしたの? 何か用かな?」
「……ッユウちゃん。二人で話がしたい」
「………いいよ、分かった」
少しだけ、ユウちゃんの雰囲気が変わった。
何だか違う人になったみたいで怖い。
だけど今はそんなこと言ってられない。
「ユウちゃん、……あのね、」
「_……フロイド先輩の事?」
「っ!」
気まずさも忘れて、地面を見つめていた顔を勢いよく上げた。
ばちっと交差した彼女の目は、私を試すような、脅すような…そんな雰囲気の目。
私の方が身長も高い筈なのに、見上げてくるユウちゃんの顔が、怖い。
「やっぱり、Aちゃん。
フロイド先輩の事好きだったんだね」
「気付いてたんだ……」
「それはAちゃんも一緒でしょ?
でも、Aちゃんてっきり私と先輩の事応援してくれてると思ってたのに
……応援してる雰囲気ではなさそうだね」
周りの生徒が誰も居なくなったのに、空気はユウちゃんの元に追い風だ。
完全にこの場を仕切っている。
息が上手くできない。
「……あの、ピアスって」
「私がプレゼントしたの
フロイド先輩は何でも似合うよね」
「そう、だね」
「………ねえ、Aちゃん」
「あの時、あそこにいたよね?」
こんなに暑いのに、凍てつくような寒気に襲われた。
気付かれていた。
フロイド先輩はそんな様子じゃなかったのに…。
という事は、つまり、ユウちゃんだけ。
「………聞きたい事って、それだけ?」
「え、」
「私、友達待たせてるから、もう行くね」
「…ま、待って!」
引き留めなきゃ。
一番、聞きたいことをまだ聞けてない。
背中を向けた彼女が再び私の方に振り返る。
私達、もう友達に戻れないかもしれない。
「フロイド先輩と、…付き合ってるの…?」
何も答えないユウちゃん。
その顔からは感情が窺えない。
いつも笑顔を絶やさないユウちゃんが、今はにこりとも笑わず私を影ついた目で眺める。
「…あれ、」
「……っ」
「………__フロイド先輩から、聞いてない?」
彼女は漸く笑った。
だけどそれはいつもの華やかな笑顔なんかじゃなくて、何もかも見透かしたみたいな怖い笑顔。
そしてその一言だけで、私を絶望感に陥れるのなんて容易かった。
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時