アンデルセンの両片想い【フロイド】

38‐言葉の真意 ページ39

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フロイド





「…………かのじょ？」





ピアスを見てくれていたAが嬉しかった。
似合ってるって、言ってくれたのに。

………なのに、Aは、泣いた。
オレがAを泣かせちゃった。


かのじょ、って…何？
何かの感情の名前？ それとも有名な人？





「………んで、あんな顔すんだよ……」





泣かせたかったわけでもねーし、あんな悲しい顔させたかったわけじゃねえ。
オレはただAが喜んでくれると思って、ずっとこのピアスをつけてたのに。

小エビちゃん、嘘つき。


喜んでなんかくれなかった。
Aに振り払われた手は、痛くなんかねーのに痺れてるみたいに動かねえ。





「オレに、これ以上何を求めてんだっつの……。
もうわかんねーよ………！」





むしゃくしゃしてベンチを蹴ったって何も起きない。

どうしたらオレはAを喜ばせられる？


Aが言ってた、かのじょっていうのを探して、Aにあげたら喜んでくれんの？


つーかアイツどこ行ったんだよ。





「あー……クソ！」





気付くのおせーんだよ、オレ。
何で今、すぐに追っかけなかったの。

またAの事見失ったじゃん。


シャボンの匂いのする方を追っかけていけば、見知った顔を見っけた。



アズールと、ジェイドだ。
…あ、さっきオレジェイド放ってきちゃった。





「二人ともそこで何してんの？
…何かオレの探しモン、持ってねえ？」

「いいえ、持っていませんよ。……今は」

「今は？ ……どっち行った？」

「あちらです」





ジェイドの指さす方に肩を開く。
そしたらアズールが「待ちなさい、フロイド」って、オレを呼び止めた。

急いでるけど、今無視したら後で面倒だからとりあえず振り返る。





「…なに」

「貴方、そのピアス誰から貰ったんです？」

「小エビちゃんからだけど」

「……はぁ」

「何なの？ もー行くけど」

「フロイド、それは外していきなさい」





アズール、うぜえ。
オレを引き留めて何がしたいワケ？
ま、別にいーけど。ピアスなんかなくても。

これでAが喜ばないって事、わかったし。
もうどうでもいい。





「………あ、そーだ。アズール」

「何です？」

「かのじょって、何？」

「……フロイド、それは………」





呆れた顔してアズールがオレを見る。
むかついたけど、その意味を知った瞬間すげえ後悔した。


彼女って、……そういう事だったんだ。
ごめん、A。


もう間違えねえから。





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