34-消えた人魚姫 ページ35
.
「Aは?」
「さあ。知らないっす」
「…は? いつも一緒にいんじゃん」
「まーオレとAは先輩とは違って同級生で仲良いんで? 色々話は聞いてるっすけど」
「………あ? 何が言いたいワケぇ?」
救世主の登場、かと思われたのだが、どうやら雲行きが怪しい。
どこかフロイドを煽るような、エースの発言。
そしてそれにまんまと乗っかって青筋を立て始めるフロイド。
「分かんないんすか? アンタ避けられてるんすよ」
ついにフロイドがエースの胸倉を掴んだ。
周りの1年生徒がざわつく。
後ろのジェイドはいまだ感情の読めない笑み。
「アイツがオレを避けてるって?
いくらカニちゃんでも許さねーけど」
「嘘じゃねぇっすよ。親友のオレには話してくれた
そんなに会いたいなら自分で見つけてください」
「………ッチ、分かったよ…」
乱暴ではあるがフロイドがエースの胸から手を離す。
若干汗ばんだエースが咳き込んだ途端、周りの生徒達も漸く空気を吸えたように息をついた。
「良かったんですか、フロイド」
「あにが」
「Aさんの居場所を聞かなくても」
「んなもん無くても見つけてやるし
オレがAを見つけらんないと思ってんの?」
「いいえ、全く」
1年の教室を離れて廊下を歩く足の長い双子。
軽い口調で話すフロイドだったが、その目はギラギラ輝いていた。
歩きながら、廊下の窓へと視線を離さないフロイド。
……その時、彼は校庭で一人の少女を見つかる。
「…………A!」
フロイドの声に反応して見上げる少女。
太陽に反射してキラキラと持ち前の鮮やかな赤髪が輝いた。
_こんな暑さの中でも、Aは今日も変わらない。
変わらず、フロイドの中で輝いているのだ。
しかし彼と目が合ったAは複雑そうな顔して顔をしかめた。
「A、そっから動かないで!」
「っえ、」
息を吹き返した魚のように生気を取り戻して窓から離れたフロイド。
そして片割れのジェイドの存在も忘れて、近くの階段を3段飛ばしで軽々と駆け下りていった。
ジェイドはその様子を「おやおや」と口元に手を当てて笑う。
そしてふとジェイドが窓から先程フロイドが見ていた景色を見てみると、もうそこには魅かれる赤髪の姿は無かった。
「__………ッハァ、は、…っオイ、A!!!」
そして下に降りたフロイドもまた。
数秒前までここに居た筈の彼女の姿を見失っていた。
.
880人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時