14-放置された人魚 ページ15
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ドッ、
本当に、心臓がこんな音して口からまろび出たかと思った。
フロイド先輩に髪の毛を引っ張られてほぼ強制的に近くなった顔。
肌つるつる…色白で睫毛長い。造形みたいな美人顔に、ごくっと私の喉が鳴ったのを、フロイド先輩は気にもせずじっと見つめてくる。
「フロイド先輩、えっと、この、体勢は…！」
「A、顔真っ赤にしちゃってかんわいい…」
「フロイド先輩ッ！ しっかりして下さい！」
もしこんな所を他の誰かに見られでもしたらフロイド先輩にとってあられもない噂が広がってしまうだろう。
そんな事は絶対に避けたい。
…ああ、もう！ 嬉しいと思ってる自分、どっか行け。
「いらっしゃいませ＿……」
他の寮生の人達のそんな声が聞こえてハッと我に返る。
慌ててフロイド先輩の髪に絡まっている右手を離すと、先輩は不満そうに私を見上げた。
「フロイド先輩、早く準備しないと。お客さん来ちゃいます」
「起こしてー…」
「わ、私はジェイド先輩でもアズール先輩でもありませんよっ」
そうは言うものの、伸ばされた両手を放っておくわけにもいかない。
意を決してその手に触れれば、思っていたよりもずっと大きくて、ごつごつしていた。
こんな所で、また男の人だと感じる。
「よっ……お、もい…フロイド先輩ッ起き上がる気、あります…！？」
「ねぇー」
「ええ！？」
「Aがもっと優しく起こしてくれたら起きんのに」
「優しくって……！」
これでも十分優しく手を握っている方だ。
いや、だからこそ起こせないのだと思うけど。
これ以上どうしろと。
だけど期待を込めたフロイド先輩の瞳が、困惑した私をじっと見つめ続けている。
もう、どうにでもなれっ。
「よ、よしよし良い子だから、フロイド先輩」
不躾だとは思いながらもその空色の短髪に私のこまい手を乗せて撫でつけた。
もう一度引っ張る手。
すると今度はあり得ないほど軽い力で先輩は起き上がる。
「あ、あの……フロイド先輩？」
俯いてその表情は窺えない。
怪訝に名前を呼ぶとすっくと立ち上がったフロイド先輩。
さっきまで見下ろしていた顔は一気に遠くなった。
「なーんか思ってたのと違った」
「ぅえ、」
「まいいや、今日も頑張ろうねえ」
そんなことを残してフロイド先輩はさっさとアズール先輩達の居るVIPルームへ行ってしまう。
残された私はただ呆然と立ち尽くしていた。
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます！高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました！何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます！ (2021年10月6日 11時) (
レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました！ (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます！そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…！そう言って頂けて感激です！監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします（笑） (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう！ (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ１００さん» 最後までご愛読ありがとうございます！オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…！ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2020年8月3日 1時
