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わざわざ余所行きのワンピースにまで着替えて、そわそわとした様子でソファに座るAは、鳴り響いたチャイムに肩を震わせた。
エントランスを開錠すると、数分後にはインターホンモニターに見慣れた三人が写る。
『私も出迎えた方がいいよね……？』
「まぁ……うん」
前髪をしきりに直すAを見遣りながら玄関へと向かうと、早足に俺の後を着いてくる。
そんな彼女をちらっと見ると、緊張からなのか顔は強ばっていて。
……そんなに大した奴らじゃねぇよ。
と、嫉妬から湧き出た悪態は、心の中に留めておく。
ドアを開けると、見慣れた顔ぶれ────レトさん、うっしー、ガッチさんが立っていて。
三人の視線は俺ではなくその奥。
Aに一斉に向いている。
ガ「よぉ、キヨ。……と、初めまして、Aさん」
牛「急にお邪魔して、ほんとすみません」
レ「……お邪魔します」
そう、こいつら三人衆の今日の目的。
それは俺に会いに来たわけでも、実況を撮りに来たわけでもなく。
俺の嫁であるAを一目見ようと、のこのことやって来たわけだ。
つまり、悪質な冷やかしという訳。
ガッチさんは、普段のにやけ顔に加え、鼻の下が伸びてる気がするし。
うっしーは、「ほーん」なんて言いながら、俺とAを交互に見渡しているし。
Aに会ってみたいと言い出した張本人のレトさんは、人見知りを発動してるし。
これ以上ない程に居心地が悪い。
冷ややかな目でこいつら三人を見ていた時、Aが一言も発していない事に気がつき視線を移す。
「……A？」
名前を呼んでも返事はなし。
目を見開きながら、三人を見て固まるAは、暫くしてやっと口を開いた。
『…………ほん、ものだ』
つい口をついた様にぼそっと呟かれた声は、多分俺にしか聞こえていない。
次第に実感でも湧いてきたのか、きゅっと口を結んだAの目はうるうると潤んできている気がする。
「泣く程かよ……」
呆れた俺の声も、やっぱりAには届いていないようだ。
今俺の隣に佇む彼女は、俺の嫁ではなく、
実況者オタクのAなのだ、と。
それがわかった瞬間、
本日三度目の大きな溜息が出た。
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あお(プロフ) - かむさん» コメントありがとうございます！とても励みになります〜！きまぐれ更新ですが、お付き合いいただければ幸いです！ (2022年5月9日 0時) (
レス) id: 35302002c7 (このIDを非表示/違反報告)
かむ - コメント失礼します！投稿お疲れ様です！このお話、めっちゃ好きです！更新頑張ってください！ (2022年5月9日 0時) (レス) @page15 id: 91de7e5fbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あお | 作成日時：2022年3月11日 10時
