No,!“#$%& ページ49
『……そろそろかな』
死んだAは、霊体となってW城の屋上から戦場の様子を窺っていた。
今のAの瞳は、とても綺麗に光り輝いていた。
?「そこで何してるのよ」
『ん?G国との戦争の様子見てるの。貴方も見る?ミシェル』
ms「じゃあ、遠慮なく」
Aの後ろからふっと姿を現したのは、
同じく霊体となったミシェル。
ミシェルの遺言通り、二人は、死後の世界でも出会った。
『G国は昔から敵対関係にあったからね』
ms「へぇ、そういえばそんな話を聞いた気がする」
今ではお互い打ち明けていて、
一緒にいることが多くなった。
ms「ずっと気になってたんだけど、」
『何?』
ms「何であの時、私を殺さなかったのよ」
___________
『お目覚めかな、ミシェル』
ms「…!ここは…!!」
ミシェルが目を覚ませば、椅子に座ったAと、
鉄格子が視界に映った。
___地下牢だ。
あの時撃った銃弾は、睡眠薬。つまり、非殺傷弾。
『安心しなよ、私しかいない。あの三人には戻ってもらったから』
ms「何でよ」
『貴方と話したかったから』
ミシェルを地下牢へ放り込んだ三人は、Aの指示で、
上に戻って行った。まだ、戦争は続いているからだ。
ms「あんたも戻ればいいじゃない」
『私は毒が回ってるし、戦えない』
少し不貞腐れたミシェルは、目を逸らす。
それに構わず、Aは話を進める。
『皆といて、幸せだった?』
予想外の質問に、思わず戸惑う。
ms「……えぇ、とても」
『そっか』
ms「それでも、私は貴方が羨ましいわ」
素直に口を開くミシェル。
こちらも予想外の言葉で、驚く。
ms「私は、皆の記憶から貴方を消そうとした…のに、」
ms「覚えていたわ、はっきりと。消せなかった」
『……ぇ』
信じられない事実に、Aから抜けた声が漏れる。
ms「羨ましいわ。だって、」
ms「それだけ、絆がある証拠でしょ?」
『……嘘だ』
無意識にAの頬を涙が伝った。
あんなに恨んでいたはずなのに、………とても、嬉しいと感じてしまったのだ。
___________
ms「あの時、私を殺せたのに、やらなかった」
『二人きりだったからね』
ms「どうして?」
『元に戻った皆が謝ってくれるか、確かめたかったから』
ms「……そう」
あの時、ミシェルを殺していれば、Aも死んでしまっていた。
それでは、確かめられなかった。
……丁度その時、不死身だと気づき、絶望している皆が見えた。
そんな皆に向かって叫ぶ。
『あはっ、ばぁーか』
とびっきりの笑顔で。
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ラム猫。(プロフ) - くろほたるさん» ありがとうございます!実は続編も出そうか悩んでいるので、その時はまた読んでくださると嬉しいです! (2023年1月25日 20時) (レス) id: 02801ed11f (このIDを非表示/違反報告)
くろほたる(プロフ) - 最後はやっぱり彼らの事が大好きだという言葉が見えて満悦です。死後世界組の関係も個人に刺さりまして起承転結全て楽しめました。執筆お疲れ様です!とても面白かったので周回できます! (2023年1月25日 18時) (レス) id: fe43882e7d (このIDを非表示/違反報告)
ラム猫。(プロフ) - 感動して頂けたなんて光栄です!なるほど…今作はここで打ち切りの予定でしたが、続編も考えて見ます! (2022年11月28日 18時) (レス) id: c372fc4406 (このIDを非表示/違反報告)
らねい(プロフ) - 今更ですが全話読みました、めっちゃ感動しました!個人的な感想ですが、wrwrdの皆が過去に戻って夢主ちゃんを救うみたいな展開があったらエモすぎる…次の作品も楽しみにしてます‼️ (2022年11月28日 17時) (レス) id: 2c672365af (このIDを非表示/違反報告)
ラム猫。(プロフ) - 狐の巫女さん» ありがとうございます!!語彙力の無さで理解して下さり、嬉しいです!! (2022年11月5日 18時) (レス) id: 51f19f872f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラム猫。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2022年10月2日 22時