【合作】夏は俺らが彩る【d!】 (ページ16)

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橙春～密かな大人への第一歩～ページ16

「A、今日も一緒に帰りませんか？」

この胡散臭い顔をしている人間は、私の彼氏で後輩であるチーノ。
私を見つけると嬉しそうに手を振って走ってくるチーノに犬のようだと思いながらにこりと微笑む。

この男、チーノは私の事が大好きだと特別扱いをしてくれる。
彼は生徒会というものに入っており、便底眼鏡で顔は見えないが、キスをするときなんかで素顔が見え、とても綺麗な顔が見える。

さて、そんな私の悩みは、チーノが人気者過ぎて困るという事だ。
いや、私の彼氏が人気者で何が嫌だというのかという人も居るだろうが、殆ど最近は話すことが出来ていない。

今回も漸く話せたような感じなのだ。

チーノの先輩にあたる人々だけでなく、同級生などに囲まれていたり、たまには女の子にも囲まれている。

じりじりと焼き付くように肌に直接日光が当たり、既に他の生徒達はさっさと帰ってしまいチーノと私、2人だけの下校。

そう胸を躍らせながらチーノの方を見ると、暗い顔をしている。

先程まで明るい顔だったのに、急にどうしたのだろうか。

『チーノ、どうしたの？』

「……ずるいんよ。俺よりも彼奴らの方がAと話してるっておかしくないか？？俺が彼氏やのに、Aが楽しそうに話してるの見てめっちゃ辛い！」

そう言って頰を膨らませるチーノ。

こう言っては何だが、焼きもちをやいているその姿は可愛かったりする。
本人に言ったら怒られるだろうが。