水春〜笑ってや？〜 ページ1
『……』
Aの下駄箱は、今日も悲惨だった。
一昨日は紙屑、昨日は石、そして今日は土が大量に入っていた。
「うわ、Aちゃん汚な…」
「かわいそ……でも自業自得だもんね？」
これをやったであろう犯人、クラスメイトの女子達がゾロゾロとやって来るなり、
Aを囲んで悪口を言う。
『え、っと……気遣いありがとう』
「え、うざ、何それ」
「気遣いしてるんじゃないんだけど」
全て水に流すようにしているAは、作り笑顔を向ける。
元から性格が穏やかなAは、対抗することも誰かに助けを求めるようなこともしなかった。
ただただいじめが続いていくばかりだ。
「これで懲りたらやめてよね？」
「いい加減にして」
『そう、だね……ごめんね？』
こうなったのも、Aがとある人物に関わっているのが原因だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿
kn「………なぁ、何か痣増えてへん？」
『…え？そうかな？』
同じくクラスメイトのコネシマだ。
女子に全く興味を示さないと言われている彼が、
何故かAだけ優しく接していることが気に食わない女子達が始めたのだ。
『昨日帰りに転んじゃったから…かな？』
kn「…絶対何かあったやろ？」
『うん？』
kn「はぁ……もうええよ」
Aの頭にポンっと手を置き、わしゃわしゃと撫で回す。
『…崩れちゃう』
kn「気にすんな、それより一緒に飯食いに行こうや！」
『分かっt…』
言いかけて辞めた。
数人の女子がAを睨んでいる。
『やっぱりごめんね、一緒に食べれない』
kn「そうか……何かあるん？」
『え、っと……委員会の仕事』
結局圧に負けたAは、何とか誤魔化し、教室を後にした。
その時、一人の女子がAに足を引っ掛け、転びそうになったところを
コネシマは見逃さなかった。
「コネシマ君！私達と一緒に昼食食べない？？」
kn「あ？誰がお前らと食うねん」
「なっ…！？そんなこと言わずに一緒n(((kn「近寄んな」
Aとは違った冷たい視線を送る。
そして、押し退けるようにして教室を出ていく。
kn「生徒会の誰か誘って食べるかー…」
最近、少しAに避けられているように感じているコネシマは、
内心ショックを受けていた。
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作者名：ラム猫。 x他6人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2022年8月20日 14時
