青春の馬 5

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___そして、小学5年生になった彼女に、思わぬ事態が押し寄せた




「5年生の夏前くらいに、音楽発表会があったんですけど…

学年で1人だけ、ピアノの伴奏ができるって聞いて、迷わず立候補しました。

立候補したのは、私を含めて15人くらいいましたね。

それで合格したはしたんですけど…

腕前には自信もあったし、先生たちも満場一致で合格だったよって言ってくれました。

だけどそれが、落ちた子たちに気に食われなかったと言うか…

そこから、嫌がらせ的なのが始まっていきましたね。

最初はほんとに些細なことでした。

楽譜を隠されたり、影からコソコソと言われるくらいだったし。

音楽会が終わるまでだろう思ってたので、特に気にしてませんでした」




___だけど、終わることを知らなかった山本さんへの嫌がらせ

むしろ、徐々にエスカレートしていくまでもあった




「そこからは辛すぎて辛すぎてしょうがなかったですね。

いつの間にか無くなっていた私物が、トイレに投げ入れられていたこともありました。

叩かれたり蹴られたりもしましたし、泣いてばっかでしたね。

中でも1番辛かったのは、机に彫刻刀で文字が掘られてたんです。

遠くにいる時に気付いたので文字は読めなかったんですけど。

近づいて見てみると 死ね って掘られてて…

落書きとかならすぐに消せるけど、掘られてるからそうはいかないじゃないですか。

だから必死になって教科書とかで隠してました…」






:






もう大丈夫かと思ってたけど、やっぱりここを思い出すは辛い…

カイロを貼って暖かくなったはずなのに、体中の震えが止まらなかった。

そんな私の様子を見たカメラマンさんが、少し休憩を入れてくださった。

一旦屋上にでも行って、深呼吸して来よう。

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