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A side
握手会が始まる前から、絶対におひさまの前では泣かないと決めていた。
色々言われて泣いちゃうと、負けを認めちゃうような気がしてね。
編集者さんは私を選んでくれたんだし、胸を張ろうと思ってた。
だけど休憩に入って裏に戻ると、なぜか自分でも分からないくらい涙が止まらなくて…
このまま楽屋に戻るのも嫌だったから、出来るだけゆっくり歩いてた。
すると頭上から大好きなお姉ちゃんの声がして、誰もいない部屋に連れて行ってくれた。
:
加藤 「よし、としちゃんのお膝座りな?」
「ずっとしんどかったっ…」
加藤 「よく頑張ったね〜 (撫) 」
史帆ちゃんは私が泣いてる理由を察してくれてて、何も言わずに甘えさせてくれる。
ソファーに座った史帆ちゃんの上に乗って、肩ら辺に顔を埋めた。
いつもの史帆ちゃんのいい匂いがして安心するなぁ…
:
加藤 「どう…?午後からも頑張れる?お休みする?」
「んー、まだ頑張る…」
加藤 「お、偉いね〜!」
「でもちょっと怖いっ…」
加藤 「ダメな時なちゃんと無理ですって言うんだよ?」
「うん…」
加藤 「としちゃんすぐ駆けつけてあげるからね〜!」
言葉は時に、何よりも鋭い凶器になるんだよね。
しかも1度刺さるともう2度と元には戻らない。
小学校の時から身に染みて、ずっと痛いほど感じていた。
少しでもこの事を理解してくれる人が増えるといいな。
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作者名:みるく | 作成日時:2022年1月26日 20時