ごつまみ ページ5
あれは誰だろう。
白い煙の中に漂う《何か》に、そんな思いを抱いた。
見えるのは、黒い影と、たなびく布と、怪しく光る赤い玉。
手を伸ばす。待って、待ってと叫びながら。
いかないで。ここにいて。捨てないで。
そんな情けない言葉ばかりが口を飛び出す。言いたくもない弱音が意味の無い音へと変わる。
その《何か》は、柔らかな笑みを浮かべた。
「…………朝か」
光を見た。なんて言い方はおかしいだろうか。単に目が覚めただけなのだが、何やら重い気分だ。
もしかして、夢を見たのかもしれない。
思い出せない夢を。思い出したくない程の悪夢を。
部屋を出て、リビングに向かう。ざわざわと音が聞こえる。両親はもう起きているらしい。しかし、何を騒いでいるのだろうか。
「あ、やっと起きたのね。紹介するわ」
リビングのドアを開けた途端に、母がニコニコと声をかけてくる。怪しい、何か悪い予感が……
「初めまして、今日からお世話になります」
背後から声がする。その声を聞いた瞬間、夢の内容が濁流の如く流れ込んできた。
「この人ね、今日から家でホームステイすることになったの、仲良くしなさいね、わかった？」
まくし立てるような母の言葉も
「なかなかのイケメンじゃないか。よかったな」
下世話な父の冗談も。
「いい夢は見られたかい？」
この男のその一言で、全てかき消えた。
悪魔の如き赤い眼を睨む。
あぁ、最悪な夢と朝に災いあれ。
━━━━━━━━━━━━━━━
幻想/夢を見る/扉の先
ドタバタラブコメの導入部分をイメージしてます。
この男の人は多分悪魔かなにかだと思うんです。(知らんがな)
お約束ですが、もちろん続きません。
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スピカ(プロフ) - あの作品…とても良いとは思っていたけどこんな風に小説化するとは…語彙力高い！ (2019年11月12日 10時) (
レス) id: 107a705257 (このIDを非表示/違反報告)
冴(プロフ) - なんか……素敵！どこがいいとは言えないです語彙力よ来い。面白いので頑張って下さい！ (2019年10月27日 18時) (レス) id: cd880b444a (このIDを非表示/違反報告)
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