【NARUTO】短編集 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:39,692 hit

【うちはサスケ】強さを求めるページ11

散歩の帰り道。
雨が降りしきる中、傘もささずに佇む女を見つけた。

「おい。」

『…何よ、サスケ。』

不機嫌そうに声だけで返事をするA。
どうせまたあの野郎と何かあったんだろう。
元は生徒と教師。それがある時、二人は一線を越えてしまったらしい。
俺は何度もやめておけと言ったが、コイツは聞く耳を持たなかった。

「いつまであの馬鹿と付き合ってるんだ。」

『アンタには関係ないでしょ。』

「じゃあ何で毎回同じ場所に居るんだよ、ウスラトンカチが。」

『別にアンタに慰めて貰いたいからじゃないし。』

「ならこうやって俺と会話なんてしてないで何処かに行けば良いだろ。」

『何で私が動かなきゃいけないのよ。』

「…ったく。」

濡れてすっかり冷え切ったその体を、そっと腕の中に包み込んだ。
何度この手を取り、何度この女を連れ去ってやりたいと思ったか。

「…抵抗、しないのか？」

『…あったかいから、つい。』

「フン。可愛くねぇ奴。」

『何を今更…あ。』

「何だよ。」

『あーいや…だからいつもこうなるのかもなー、なんて…。』

そう言いながらも、小さく肩を震わせているのが俺の腕に伝わってくる。
全く…本当に可愛くない女だ。

「強がってんじゃねぇよ。」

『無理だよ。だって強いし、あの人。』

「だからってお前まで強くならなくても良いだろ。それにこれはただの強がりだ。」

『解ってるよ！！解ってる…でも…子供じゃあの人の隣になんて居られない…。』

「そこまでしてアイツの隣に居て何になる？」

『何にもならないよ。 …ただ私が幸せなだけ。』

その瞬間、プツリと何かが切れた。
あぁ…お前もなのか。
どうやら俺には、この道しかないらしい。

「…そうかよ。」

此処に来て、コイツを抱きしめるまでは、正直まだ迷ってた。
だが…やはり俺の選択は正しかった。
そっと腕を放し、その場を立ち去った。
待ってろよ、A。いつかさらいに来てやるから。
例の力を手にし、あの男を殺す。そして…必ず…。