魔王の一人娘になりまして。【オリジナル】

王族の自覚 ページ15

「レティシア様。ようやく捕まえまし……冷たい？」




　ぼーっとしていて、ローブも被り直していなかった私は、呆気なくアルドに捕獲された。

　恐怖のせいでよくわかっていなかったが、体が驚くほど冷えきっていた。



　無言で怒りを主張するアルドにベッドで寝かしつけられる。暖炉には次々薪が放りこまれた。



　私が平熱を取り戻した後、アルドに目一杯叱られてしまう。



「いいですか！？ レティシア様の御身に何かあれば、私の出世の道は途絶え、死刑だってあり得るのです！ 僕は陛下の親友……エミールの息子なのでまだなんとかなりましょうけど、サファイア宮にいる他の魔族はそうもいきません」



　とのことらしい。

　よく反省しておこう。


　いつまでも一般ピーポーの意識でいては、みんなに迷惑がかかる。



「エメラルド宮に行って……お父様に会ったわ」
「……」
「また、行っても良いって」


　ほう、と大きく安堵のため息をつくアルド。


「危ない綱渡りをしますね。レティシア様……陛下にお会いしたならおわかりでしょうが、何か陛下のお気に召さないことをなされば……」



　私の首は飛ぶんだね。物理的に。

　了解だよ。



「……わかってる。もう無茶はしない」



　無茶したかったわけじゃないんだけどね。


　私はとある鬼から逃げていただけで……はい、ごめんなさい。反省してます。



「はぁ。……根を詰めすぎた自覚はあります。申し訳ありません。これからは十日に一日は休みをいれましょう。なのでもう……逃げて、心配をかけないでください」



　心配、してくれたのか。

　野心とか出世欲じゃなくて、純粋な心配ならもっと嬉しいとか。


　考えてしまう私は欲張りで、バカなんだろうなぁ。


　とりま休みGETしたわー！
　うはははは！

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