Butterfly -tkin- 《1》 (ページ47)

今日:1 hit、昨日:29 hit、合計:138,395 hit

47 ページ47

雄也side

慧｢帰るまでには見つかると思うけど…

心配だね、｣

伊野尾くんがそう呟いて、
ベンチから立ち上がる。

慧｢俺、探してきてやるよ。

二人は明るいとこで遊んどきな？｣

涼｢え、でも…｣

慧｢二人まで迷っちゃったら大変だし。｣

雄｢俺も一緒に探すよ｣

知念は身長的にも顔的にも
女の子と間違えられるような子だから、

それで変な人に拐われたりしたら
余計、洒落にならないもんね。

裕｢高木くん、｣

雄｢大丈夫だから。

知念のことは俺らに任せて、
二人は安心して待っててください。｣

不安げに俺らを見上げる山田と裕翔に
そう声をかければ、

｢うん…｣と二人とも素直に頷いた。

普段はしっかりしてるような二人も、
やっぱりこういうとこは中学生っぽいな。

慧｢ありがとね、たかぎ｣

雄｢…俺も知念のこと心配だし。｣

慧｢ふふっ、やっぱりたかぎは優しいんだ｣

何かを思い出したようにそう言う
伊野尾くんに、俺は首を傾げる。

まぁいっか、伊野尾くん楽しそうだし。

.

しばらく歩き続けてようやく
知念を見つけたのは、
人混みの中の屋台の後ろの影。

慧｢知念！…良かったぁ｣

侑｢伊野ちゃん、｣

ぎゅっと伊野尾くんが抱き寄せた
知念の手には大事そうに、

何かの景品なのか
汚れたネックレスが握られていた。

.