Butterfly -tkin- 《1》 (ページ38)

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雄也side

案の定、玄関の扉を開くと
なにやら袋を持った裕翔が
はにかんで立っていた。

裕｢突然ごめんね高木くん。

実は昨日お爺ちゃんに
いっぱいスイカ貰ってさ、｣

一人じゃ食べきれないから、と
わざわざお裾分けに来てくれたらしい。

雄｢うわぁ、でっか…｣

裕翔の細い腕が持ち上げた袋には、
大きなスイカが一つ入っている。

裕｢へへ、お爺ちゃんが
畑で一から作ったんだって。

これがあと2個家にあるの笑｣

雄｢そりゃ大変だな笑｣

裕｢でもね、味は本当に美味しいの！

一緒に食べようよ｣

雄｢えっ、今？｣

丸々一個、切り分けられるかな…

裕｢…うーん、じゃあ、
お母さんに切ってもらってこようか？

今家に居るから｣

雄｢…じゃあ、そうしてもらおうかな。｣

裕翔はいつもこんな風に、
本当に優しい顔して笑う。

もうすぐ抜かされそうな
スラッと伸びた身長と綺麗な顔で、

黙ってりゃ大人っぽいのに
実際はカメラやらドラムやら

あちこち忙しく走り回って、
本当に元気な中学生だと毎回思う。

まぁ、出会った頃と比べたら
だいぶ落ち着いた方だけどね。

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