Butterfly -tkin- 《1》 (ページ11)

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慧side

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その日は体育以降移動教室もなく、
高木が貼ってくれた湿布の効果もあってか

帰る頃には朝の激痛が
じんわりと弱まってくれていた。

大｢いや、まさか明日の時間割りを
間違えて持ってくるなんてね～｣

いつも通り大ちゃんと肩を並べて
帰路へと着く。

" 色々置き勉してて助かったわー、" なんて

まずなんで1時間目の時点で
気づかなかったの大ちゃん。

慧｢じゃあ明日の分、
もうそのリュックに入ってるわけだ｣

大｢ううん、忘れることを前提に
さっきロッカーに入れてきた｣

慧｢大ちゃんのロッカー、
もうパンパンなんじゃ…｣

いつも教室で見る、瞬く間に出来上がった
｢有岡大貴の巣(後ろのロッカー)｣に

また新たな置き勉教科書たちが
詰め込まれたと思うと、

大ちゃんの不器用さも
かえってなんだか愛おしい。

大｢足、どんぐらい痛む？｣

慧｢朝は酷かったけど、今は全然大丈夫だよ｣

今朝と比べればかなり
普通に歩けるようになったけど、
まだ少し俺の歩き方はぎこちないらしい。

大ちゃんに心配そうに覗き込まれて、
その瞳にあいつの姿が重なった気がした。

慧｢…大ちゃん、俺──｣

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