DROP -mmru- 《番外編》

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ラウールside





幸せ、だった。





「夢だったから、…こういうの」





ロマンチックで、口に出すのは恥ずかしいけど
今ならなんか、言える気がして。





「好きな人と観覧車乗ってさ、
同じ景色を見て、一緒に笑って──」





" 一番高い所に着いたら、キスするの。"





拭った涙に愛しさを受け入れて、
真っ直ぐに重なる視線を逸らさずに。





目「そっか、」





馬鹿にされてもいいや、とか、そうじゃなくて…





目「じゃあ、それしよう。」





この人は、絶対馬鹿になんてしないから。





.





刹那、時間が止まった気がして、
宙を舞う意識が " 好き " でいっぱいになった。





視界を覆う黒が、苦しいぐらいに愛おしくて
無意識のうちにまた涙が頬を伝う。





今俺たちと同じ高さにいる人は
いないんだって思ったら、

なんだか凄く、嬉しくなった。





「──めめ、」





好き。





バカみたいで、悔しいぐらい…





この世界で一番、大好きだよ。





.





名残惜しい景色にサヨナラをして、
ホテルに戻った頃にはもう時刻は23時を過ぎて。




外に出た身体で寝るのはなんだか気が引ける、と

勝手に部屋のシャワーを浴びためめに
便乗して、俺も本日何度目かのお風呂タイム。





濡れた髪をタオルで拭きながら寝室に戻れば、

ベッドに座ってスマホを弄ってたらしい
めめがスマホの画面を閉じて顔を上げた。





目「遅い、」





…え、なに、





「俺のこと待ってたの？」





ちょっぴりからかうような顔を見せつつ、
ほんとは嬉しくて仕方ないのは内緒。





目「ちげぇよ、」





余裕そうな顔で口を尖らせて、
どこまでも意地っ張りな目黒くん。





「てかこのバスローブ超いいね！」





" さすが一流ホテル、俺らの予算も上がったね〜 "

なんて冗談混じりに呟きながら、
素材の良さげなバスローブに顔を埋める。





しばらくしても返ってこない返事に
もふもふのそれから顔を上げたら、

めめの艶めく真っ黒い瞳が、
真っ直ぐに俺を見据えていた。





.

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