46 ページ46
目黒side
寒さで真っ白な頬をほんのり紅潮させて、
冬の夜が映える綺麗なその子は
俺を見つけるなり嬉しそうに微笑んで。
…外で待たせるつもりじゃなかったのに、
もっとちゃんと言っておけばよかった。
「これ、めめの？」
目「ん、」
「やった！」
冷たい風に身体を縮こませる背中が可哀想で、
咄嗟に自分のを外して巻いたマフラーを
ラウは心底気に入ったようで、
嬉しそうに頬を埋めたままにんまりと笑う。
「…めめの匂いがする」
" いい匂い、好き。 " なんて
ぽそりと呟きながらくんくんと、
お前はイヌか、恥ずかしいからやめろ。
「で、めめはどこに行きたいの？」
目「あぁ…あっち、」
もう躊躇いなんて欠片もない。
マフラーを掴むラウの手を取って
自分のコートのポケットに突っ込めば、
中でぎゅっと強く手を握り返されて。
「ふふ、…あったかいね、」
風になびいてふわりと舞う妖艶な黒髪が、
彫りの深いラウールの綺麗な顔を隠す。
目「──ん。」
頬を掠める冬の冷たい空気とは裏腹に、
繋いだ手はじんと温かかった。
.
飾らない、いつものくだらない話をしながら
二人でのんびり歩いた並木道の先、
辿り着いて見えた、光る虹色を指差したら
ラウが大きな目をぱっと輝かせた。
「観覧車だ！」
ここへ来る途中、新幹線の中から見える
それを指さしてはしゃいでいたこいつを
なんとかお忍びで連れて来てやれないかと
俺なりに考えて、平日の夜なら大丈夫かなって。
目「お前乗りたそうにしてたから笑」
「えっ、乗れるの！？」
目「お前暴れるな、バレるだろ」
やったやったと陽気にスキップなんかしだして、
こういう時はちゃんと年相応なラウール。
少し目を離せばどこかに行ってしまいそうな
ラウの荒ぶる腕を掴んで制しながら、
…傍から見ればきっとバカみたいだけど、
こうやって、くだらない幸せを噛み締めながら
冬の始まりを迎えるのも案外悪くない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Jasper(プロフ) - chirolさん» わぁ、chirol様お久しぶりです✨リピとロスなんて、本当にもったいないぐらいの褒め言葉を頂けて嬉しい限りです😭また新作を公開した際にはぜひ…！素敵すぎるお言葉本当にありがとうございました💓 (2022年12月27日 13時) (
レス) id: ec09f7bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
chirol(プロフ) - Jasper様大好きなmmru新作素敵でした！リピとロスでほろほろ🥺実際最近のmmruの関係性がだんだんしっとり大人っぽくなり…そんなお2人さんの優しい時間を垣間見てる様な暖かくて幸せな気持ちになる作品でした。ハタチの末っ子さん作品も是非！お待ちしておりますね！ (2022年12月27日 1時) (レス) id: b76aea2474 (このIDを非表示/違反報告)
Jasper(プロフ) - 瑠羽さん» わぁ、素敵なお言葉本当にありがとうございます！😭一話一話悩みながら書き進めた作品なので、ぜひたくさん読み返して頂ければ嬉しいです。20歳の末っ子くんのお話も書いてみたいなぁ…(笑)瑠羽様、温かいコメント本当にありがとうございました！💓 (2022年12月10日 20時) (レス) id: ec09f7bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
瑠羽 - Jasper様！！お疲れ様でした！もう心の中が幸せでいっぱいです。終わってしまったロスも半端ないですが…最初から続けて読もうと思います。二十歳になったラウも楽しみですよね♪またお話楽しみにしてますね！感謝です！！ (2022年12月10日 17時) (レス) @page50 id: 3cb2d911e3 (このIDを非表示/違反報告)
Jasper(プロフ) - 瑠羽さん» お待たせ致しました！笑 私もまさに同じ事を思って、今回はそんな2人の変化を描いてみました☺️最後までぜひお付き合い下さいね。 (2022年11月19日 22時) (レス) id: 262b5efa91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Jasper
| 作成日時：2022年11月18日 19時
