DROP -mmru- 《番外編》

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ラウールside





周りの音が聞こえなくなって、
一瞬だけ時が止まった気がした。





それは、俺から伝えることはあっても
めめの方から告げられる事は無かった言葉。





先に口にするのはいつも俺の方で、

硬派な彼だから、それに優しく
頷いてくれるだけでも十分だと思ってたのに。





「めめ…」





今、なんて言ったの？





.





突然の出来事に行き場を無くした腕を
遠慮がちにめめの背中に回せば、

もう目の前のこと以外は考えられない
晩夏に咲いた二人きりの世界で





無意識に目尻から流れ落ちる一滴の雫に、
俺はようやく自分が求めていたものに気付いた。





「あぁ──」





俺、めめに " 好き " って言われたかったんだ。





ゴツゴツした男らしい綺麗な手で
俺の頭を優しく撫でてくれるとこも、

図々しいぐらいに重い俺の愛に
精一杯答えようとしてくれるとこも、

全部全部嬉しかったけど…





ほんとはずっと、めめの方から
好きって言ってくれるのを待ってた。





目「…ラウ、泣いてるの？」





普段はなかなか言ってくれないからこそ、

それがどれだけ特別なのかを思い知って
尚更、胸の真ん中がじわりと熱くなって。





…幸せ、だった。





「ううん、」





胸に溢れる愛しさに、唇を噛み締めながら
絞り出した声は少しだけ震えたけど





「…嬉しいの」





目「え？」





心配して俺の顔を覗き込もうとする
めめの身体を掴んで止めて、

…今度は、俺の方から。





目「！」





心臓がはち切れそうだったけど、
もう我慢なんてしたくないって

覚悟を決めて閉じた視界、
俺はその綺麗な唇にキスをした。





.

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