第114話 ページ25
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『あの、また来ていいですか?』
炭治郎達と屋敷を出る前、煉獄さんにそう尋ねると、彼は少しだけ驚いて、優しく微笑む。
「ああ、いつでも来てくれ。俺は待ってるから」
『はい!』
ほぼ半日、煉獄さんの屋敷で過ごし、記憶が戻ることはなかったけど、でも、どこか居心地の良さがあった。
『(今度は何かご飯持っていこうかな…煉獄さん、嫌いなものとかないかな…)』
…次は、いつ会えるかな。
そう考えるだけで、少しだけ明日からが楽しみになった。
「…よかったな、A」
『?何が?』
「行く前と表情が全然違うから。やっぱり、会わせてよかったよ」
『……うん、今日はありがとうね、炭治郎!善逸!』
めいいっぱい笑って言うと、炭治郎も善逸も少しだけ頬を染めて、どういたしまして!と返してくれた。
* * *
「Aちゃんってさ、やっぱり柱の人達と俺達とは表情が違ぇよな」
「……」
Aは、義勇さんに用があるから。と途中で別れ、2人で蝶屋敷へ帰っていた時、善逸がふとそんな事を言った。
「…心做しか、音も違う気がする…」
「それは思い込みだろう?」
「表情は否定しねえのかよ」
「…まぁ、それは…」
本人は気づいていない。否、気づかないくらいそれは本当に僅かな差。
「…柱の人と過ごした時間と、俺達と過ごした時間は流石に違うからな。やっぱり思い出が深いのも柱の人達とだろうし」
「そうなんだけどさあ…やっぱ、ちょっと寂しいじゃんか。俺達のことは、本当に何も憶えてなかったなんて」
「…そうだな」
柱の人達や、蝶屋敷の人達には何かしら記憶が反応してたらしい。
でも、禰豆子も含む俺達4人のことは、本当にわからなかったみたいだ。
「…でも、今はまたちゃんと覚えてくれたし、これからまた一緒に過ごして、Aとの思い出を増やしていけばいいよ」
「はぁ〜〜なんでお前はそんな前向きで居れるわけ?まあそうなんだけどさ」
俺、結構ショックだったよ。ぽつりと言う善逸からは、哀しい匂いがする。
…ああ、一緒だよ。俺も寂しかったよ。再会した時の衝撃は、今でも忘れてない。忘れられなかった。
「(あの時…Aは俺に怯えてた…多分、Aが鬼で、俺が鬼殺隊だったからだ)」
逃げ回るように鬼殺隊を避けていたのは、自分の居場所がないと思っていたからだ。
…でも、今は、
「(ちゃんと、ここが自分の、Aの居場所だって、思ってくれてたらな…)」
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月花 - 善逸との絡み入れて欲しいです (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 大正コソコソ話!夢主は鬼殺隊に入り始めた頃任務がキツくて来世は隠に入ろっかなと思ったらしいよ (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 星廻さん» コメントありがとうございます!!(*´-`*) シンプル!笑 嬉しいです(*´`) (2019年10月19日 0時) (レス) id: 3900fac987 (このIDを非表示/違反報告)
星廻 - すきです! (2019年10月18日 23時) (レス) id: 345c689636 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 廻那さん» コメントありがとうございます!!更新頑張っていきます!(*^^*)ああああ、ご指摘ありがとうございます( ; ; )すみません( ; ; )すぐ訂正します( ; ; ) (2019年8月10日 1時) (レス) id: 81b06921bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たくあん | 作成日時:2019年7月13日 18時