第107話 ページ18
.
A、起きて……
…誰…?
自分に負けちゃダメよ…ちゃんと思い出すの…
…なんのこと…?
仲間のこと、今までのこと、少しずつでいいから…ゆっくり思い出して…
…どういうこと…私…。
全部じゃなくていい…今は…少しだけで…
知らないその人は私の額をトン、と人差し指で押す。
すると、走馬灯のように頭に流れる記憶。
…なに、頭が痛い…情報が多すぎる…やめて…。
ゆっくり…でも確実に…思い出してね。
『…ねえ…さん…』
「…A?」
ぽつり、と呟いた言葉は、丁度私の顔を覗いていた女の人にも聞こえていた。
『ご、ごめん…なさい…多分…人違いです……』
「……」
『す…すみません…』
「……」
『(えっ、どうしよう…お姉さん何も言ってくれない…そんな怒っちゃう?もしかして私より年下だっ…――)』
ぎゅっ…
「…よかった…目が覚めて…」
『……』
…温かい…私、知ってる…この人の温もり…。
「ふふっ、それにしても…初めて会った時のことを思い出しますねえ」
『えっ…?』
「あの時も、Aは夢の中でお姉さんと会ってたんですね」
『……』
そう言われ、さっきの夢に出てきたのが、私の姉だったのかもしれないと思えた。
「私は鬼殺隊・蟲柱の胡蝶しのぶです。
…A、おかえりなさい」
『え……』
"おかえりなさい"
その言葉に驚く。
…なんで?私を鬼だって知ってるはずだよね?あの子が言ってるだろうし。何故…頸を取ろうとしない?
なんで、あの子…"時透くん"も…
『(そんなに優しい目で…私を見るの…私は…あなた達のことを……)』
『"しのぶさん、私ね、鬼殺隊も、柱の皆も、蝶屋敷も…大好きです"』
「"ふふ、それは嬉しいですねえ"」
『"ここを…家にさせてくれて…ありがとうございます"』
「"いいんですよ、きっと…姉さんもそうしたでしょうから"」
『…し、のぶ…さん……』
「!…泣かないで下さい……私も…泣きたいくらい…嬉しいですから…」
『!』
両手で私の頬を包むと、柔らかく微笑むしのぶさん。
「今度は…ちゃんと帰ってきてくれて…ありがとう…A…」
『っ!』
「記憶も思い出も…今は何も持ってなくていいんです。これからまた集めればいい…。貴女がこれ以上苦しむことがないように…心の底から笑えるように私が…"私達"が努めます。
だから…また、一緒に過ごしましょう?」
『うっ…うあ…あぁ…!』
1468人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月花 - 善逸との絡み入れて欲しいです (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 大正コソコソ話!夢主は鬼殺隊に入り始めた頃任務がキツくて来世は隠に入ろっかなと思ったらしいよ (2020年1月23日 7時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 星廻さん» コメントありがとうございます!!(*´-`*) シンプル!笑 嬉しいです(*´`) (2019年10月19日 0時) (レス) id: 3900fac987 (このIDを非表示/違反報告)
星廻 - すきです! (2019年10月18日 23時) (レス) id: 345c689636 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - 廻那さん» コメントありがとうございます!!更新頑張っていきます!(*^^*)ああああ、ご指摘ありがとうございます( ; ; )すみません( ; ; )すぐ訂正します( ; ; ) (2019年8月10日 1時) (レス) id: 81b06921bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たくあん | 作成日時:2019年7月13日 18時