【鬼滅の刃】生きるために刀を握れ！ 弐

第53話 ページ8

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手が緩まった瞬間、天元さんの手を弾き、1歩前へと出る。



『実弥さん、箱から手を離してください。しのぶさんの許可なしに何をしてるんですか』

「あァ？てめぇは何であの野郎の味方なんだ？」

『…いいから、離してください…。それは彼の命より大切なものです』



カチャリ、とゆっくりと刀に手をかけると、実弥さんはニヤリと口角を上げる。



「なんだ？隊律違反を重ねるか？」

『…禰豆子ちゃんは人を食べたりしません。暫くの間、私が監視してました。彼女に私が襲われることも、また、彼女が他の人を襲うことも見たことありません』

「A…」

『お願いします。彼女は、炭治郎のたった一人の妹です』



刀にかけようとした手をダラりと脱力させ、そう言うも実弥さんは止まらない。



「神凪がどう言おうが鬼は鬼だ。鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ？そんなことはなァ、ありえねぇんだよ馬鹿がァ！」

『(だからっ、嫌なんだ…！ここの話は…！)』



実弥さんの日輪刀が箱を貫き、思わず飛び出そうとするも、ズキンと痛む心臓。

…くそ、くそ、くそ！なんで、飛び出させてくれない…！



『ゲホッ！ゲホッ！』

「A！」

「俺の妹を傷つける奴は柱だろうが何だろうが許さない!!」

「ハハハハ!!そうかい、よかったなァ！」

「やめろ!!もうすぐお館様がいらっしゃるぞ!!」



義勇さんがそう言えば、一瞬動きの止まった実弥さんに、炭治郎の頭突きが入った。

…いった…音が…もう痛い…これは実弥さんに同情する……。

ドサッ！と倒れる2人に、ブフッと笑った蜜璃ちゃん。



『ゲホッ…』

「A！大丈夫ですか、水を…」

『ハァッ…ヒュッ…』



…息が、落ち着かない、やばい、呼吸が…



『(なん、で…いつも、すぐ…治まる…)』

「A、大丈夫？」

『ハァッ…ゲホッ！…とき…ハァッ…とう…ゲホッゲホッ！』



ふわりと、しゃがみ込む私を優しく抱きしめる時透くん。ドクン、ドクンと伝わる心音にゆっくりと息を整える。

少しすると、背中を摩ってくれ、再び大丈夫？と尋ねてくれた。



『ありがとう、時透くん』

「うん。Aの為だもん」



と、息を整えてるうちに、炭治郎が叫んだ。



「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら柱なんてやめてしまえ!!」

「テメェ…ぶっ殺してやる!!」



その時、



「お館様のお成りです！」

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