第10話 ページ12
.
垂氷を出した後、ふらつく身体。更に激しくなる動悸。終いには吐き気さえも催される。
…痛い、心臓も、腕も、足も。あれだ、ゾーン的なの終わったんだ。
『(痛い…痛い…でも…)』
まだ、待って、頑張れ。鬼を倒すまで。立て、私。
…あの鬼を許すな、今私は、屍の上に立ってる。
「よくも…やってくれたわね…!でも鬼には関係ないわよ…」
『(また再生し始めてる…早く、倒さなきゃ…頸を…)』
刀を握り構えるも、焦点が合わない。
「もう限界でしょう。ゆっくりお休み」
『(頑張れ…頑張れ私……)』
と、目の前に敵の血鬼術が迫った時、蘇る記憶。
―――
《落ち着け。たっぷり息を吸うんだ》
《ぷはぁぁ!》
《誰が吐けと言った!》
《いやだって!無理だって!》
《常に意識しろ。全身に血を巡らせて、熱を起こせ。体温も心拍数も上げろ。そして限界を超えろ》
《…それもう死なない?》
《そこを生き耐えろ馬鹿者》
《理不尽》
―――
…馬鹿みたい、なんで今思い出すんだろ…。
『ふっ…』
「(何故笑うの…この状況で…)」
『(…吸え、息を、全身に送れ…!)』
「おかしな子…さようなら」
『シィィ…!』
「!」
…ギリ避けたつもりだったのに、瞼の上、掠った、でも見える大丈夫。
落ち着け、思い出せ、そうだよ、善逸がやってるやつ。足に溜めるんだ。炭治郎もやってた。全く同じように出来なくても、やってみるんだ、私。
『(氷の呼吸で、アレに似てるのは…)』
「次は外さない」
チン、と1度鞘に刀を収め、その体勢を取る。
「大丈夫、安心して、綺麗に食べてあげるから」
『氷の呼吸 陸ノ型
スパァン!
「…?(斬れてない…?もしかして外し…)」
『外さない。こんな真正面で、外したりなんかしない』
カチャリ、と刀を向け言い放つ。
『十二鬼月・下弦の肆。大人しく塵になれ』
「あっ…」
ズズズ…とゆっくりと斬れる頸。苦しみ出す鬼に私は憎しみの目を向けるしか無かった。
『(こんなにも、鬼殺隊士がやられてるんだ…許せるはずが、)』
「"ありがとう"」
声に反応すれば、鬼の傍に立つあの女の子。
「"助けてくれて、ありがとう"」
『(ああ、そういうこと…)…どうか、安らかに』
そう手を合わせようとすれば、建物が揺れ始める。
…やばい、思いっきり斬りすぎた…?いや、でも私なんかの剣技で館が斬れるわけ…
ガラガラガラ!
『!!』
1618人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヘル - WW (2021年5月22日 0時) (レス) id: 8a8dc3fa13 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - 第45話で絶対たまたまだけど名前出て一人で喜びの舞踊ってた→見られてた→\(^o^)/ (2020年7月20日 0時) (レス) id: 0b06ea8062 (このIDを非表示/違反報告)
たくあん(プロフ) - せりりんさん» コメントありがとうございます!嬉しいです(*^ ^*)更新頑張ります!! (2019年6月24日 18時) (レス) id: 17eabedad2 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 感動しました!炭治郎流石って感じです! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
せりりん(プロフ) - 凄いてんかいっすね! (2019年6月24日 17時) (レス) id: 60b1ee46a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たくあん | 作成日時:2019年6月12日 0時