検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:104,569 hit

20 ページ21

気を遣ってくれているのか、はたまた気まずいだけなのか、私達は、公園を出てから誰一人として一言も話さなかった。
私だってこんな沈黙嫌いだし、なにか話そうと思っているけど、どうも話題が思いつかない。
そんな沈黙を破ったのは、坂田さんだった。




さ「あ、あのさ…ずっと思ってたんやけど…」



その服やばくない?そう言われて、パッと俯いて服を確認した。
パーカー1枚だけで、下はズボンなんてもの履いていない。
今まで坂田さんに夢中で気づかなかったけど、よくよく考えてみれば、警察沙汰になりそうなほど露出度が高かった。


確かにやけにスースーと風が通るな、とは思っていたが、これのせいだったとは。




さ「あ…、キャーッ!とか言わへんの?」

『えっ、……きゃー!』

し「棒読みすぎやろw」

う「見かけによらず、Aちゃんって男らしいんだな」

さ「うらさんが女の子っぽいだけやろ」

う「はぁ?」




二人の言い合いが面白くて、さっきの沈黙なんか嘘のように一気に騒がしくなった。
青春。とでも言うのだろうか。




「よぉ、ひさしぶりだなぁ、浦島坂田船さんよぉ」




突然私達の前に仁王立ちで立ちふさがる一人の男。後ろには数十人のいかにも弱そうな奴らがいた。
浦島坂田船…、多分坂田さんとかのことであろう。




う「お前誰?」

「この前戦ったばっかじゃねぇかよ!」

し「うらたさん、あの弱かった奴ら。」

う「あぁ、おけ。
…で、なに?」

「丁度坂田ってやつも怪我してるようだしよ、喧嘩しねぇか?」

う「無理、お前ら弱いじゃん」




私が今思うことは、ただ1つ。何なんだこの人たちは。
喧嘩とか弱いとか。そんな物騒の悪い言葉ばっか使って、正直胸糞が悪い。



『どいてください』

「あぁん?」



ポケットに手を突っ込んで、斜め下から睨んでくる男。
典型的な不良だなぁ、なんて。
本当は怖いけど、この人たちに怖さを見せたら見縊られる。弱いやつだと認識されて、そのまま天国まで行かされてしまうかもしれない。
そんなの絶対に嫌だ。




『私は早く家に帰りたいので。』

「おー、お前意外と可愛いじゃねぇか。」



グイッと腕を引かれ、坂田さんの腕からスッと抜けて男の胸の中にスポッとおさまった。
離れようとしても、空手も柔道も習っていない、雑魚な私が男の力に勝てるわけがない。




「この子をかけて勝負しようぜ」



そう男は彼らに言い放った。

21→←19



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (189 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
421人がお気に入り
設定タグ:浦島坂田船 , センラ , 歌い手
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

タシア松(プロフ) - 紫苑さん» こちらにもコメントしていただいてホントに感謝しかないです、、。ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします (2021年10月26日 6時) (レス) id: 63758ca099 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - ドソキでツボっちゃいましたWとても面白かったです!これからも面白い作品待ってます! (2021年10月26日 1時) (携帯から) (レス) id: d13b409c87 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - ちょこまみれさん» ありがとうございます! (2021年1月24日 13時) (レス) id: 2434cd9a85 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこまみれ(プロフ) - 素敵です (2021年1月24日 13時) (レス) id: 53f0e78d36 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - さとうさんさん» ハラハラできるようにかけていたなら良かったです…。少し自信がなかったので、。嬉しい褒め言葉本当にありがとうございます!これからも日々成長していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!! (2020年3月29日 12時) (レス) id: 73485a3048 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:タシア松 | 作成日時:2019年12月21日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。