さっさと ページ11
．
若干のピリついた空気を残しながらもミーティングは進んでいく。
私は征司郎と共にソファに座って資料に目を通しつつ、権の字の話を聞いていた。
今回の議題は『患者を誰にするのか』ということと『オペのチームをどうするか』ということ。
今回の執刀医はアイツもとい西崎だ。
失敗は許されない。
否。
失敗などあってはならない。
その為に帝華大側は、(言い方は悪いが)一番条件のいいリスクの少ない患者を探すと同時に
どんなメンバーで挑むのかを模索している。
「さっさと決めればいいのに」
決めあぐねてうだうだと続くミーティングに嫌気が差して思わずつぶやいた言葉は、あまりに小さくてアイツには届いていない。
けれど、隣の男には届いてしまったようだ。
突然立ち上がり自分の資料を私に押し付けると、腕を掴んで同じように立ち上がらせ、どんどんアイツの方へ近づいて行く。
渡「西崎教授。あなた今回のオペ成功させたいんですよね」
西「当然だろう」
振り向きもしないで鼻で笑う西崎は、椅子にもたれ掛かったままだ。
渡「だったら助手は…」
世「え、あ、ちょ…すみません」
一人、帝華大の輪の外に立っていた世良くんをぐいぐい押しながら征司郎は進んでいく。
その間も私の腕をつかむ手は離れない。
渡「こいつと俺、それからこの女。他要りませんよ。邪魔」
お決まりの台詞と共に言い放った征司郎に対して、坂口先生は口をあんぐりと開け、権の字は慌てて止めに入る。
しかしそれをも「邪魔」の一言で片付け私から手を離す。
渡「患者は誰でもいいですよ」
西崎が手に持っている患者のリストを手に取った。
カサリと紙の擦れる音だけが響く。
渡「どうせ俺がやるんだ。誰が執刀したって成功しますよ。よかったですね、西崎教授」
西「…何だと？」
ニヤリと笑って差し出されたリストを受け取ると西崎は立ち上がって上から見下すように征司郎に圧をかける。
しかし、それをものともせずに征司郎は余裕の表情を崩さない。
渡「それともう一人、呼んでます」
静かな空間にガチャっと扉の開く音がした。
少し開いた隙間からスルリと入ってきたのは、
いつも通りの猫目の彼女。
猫「オペ看を務めます。猫田です」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霜月(プロフ) - 希央さん» お返事遅くなりましてすみません。コメントありがとうございます！本当にスローペースですが、頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (
レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 美里さん» お返事遅くなりましてすみません。ありがとうございます。これからも皆様に楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 中原三日月さん» コメントありがとうございます。お返事遅くなりましてすみません。更新、頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 沙月さん» お返事遅くなりましてすみません。そうだったんですね！私も自分の名前に使われている漢字が出てくると驚くのでお気持ちわかります（笑）。これからも更新頑張ります！ (2019年4月21日 23時) (レス) id: 7faa8b6556 (このIDを非表示/違反報告)
希央(プロフ) - スローペースでも構いません。ちゃんと読んでいますよ！更新楽しみに待ってます (2019年4月8日 2時) (レス) id: 29de18e512 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霜月 | 作成日時：2018年12月17日 23時
