緊張オペ ページ10
「そっちもっと吸引してー」
医1「はい！」
「サポートしてー左に引っ張って」
医2「はい！！」
なるべく分かりやすいように指示を飛ばしながらオペを進めていく。
そろそろ破裂部に到着というところで、猫ちゃんが私に遮断鉗子を渡すと同時にドアの開く音がした。
皆がそちらを一斉に振り向く中、私は遮断鉗子を噛ませて人工血管の置換を始める。
医1「と…、渡海…先生…」
渡「…猫ちゃんの姿が見えねぇと思ったらそういう事かよ。いつ来たんだ？」
「病院に来たの9時。オペ室に着いたのさっき」
征司郎はそれほど驚いた様子も無く、看護師からガウンを受け取っている。
渡「お前、その患者が腹部大動脈瘤だってよく分かったな」
「いや、分かったっていうか…。仮眠室にあった征司郎のタブレットで知った。置換完了。次4-0ちょうだい」
征司郎は準備を終えると「邪魔」の一言で第一助手を退け、その空いたスペースに着いて吸引管を手にした。
「なに、手伝ってくれるの？」
渡「お前のオペだからな」
「わぁー珍しい事もあるもんだね」
渡「いいから無駄口叩いてないで最後の縫合しろよ」
大人しくそれに従って縫合を進めていく。
すると、再びドアが開く音が。
私はそれを気にすることもなく黙々と最後の仕上げに掛かる。
「そろそろ終わるよー。メッツェン用意して」
猫「はい」
チラリと一瞬向けた視線の先。
猫ちゃんの手には既にメッツェンが握られていて、流石だなぁと感心してしまう。
「メッツェン」
猫ちゃんの手からしっかりと受け取り、糸を切る。
遮断鉗子も外した。
…よし、出血ないから大丈夫だね。
「はい。処置完了」
やっぱりオペはいくら回数を重ねても緊張するし疲れる。
ほっと息を吐いた。
また、ドアが開く音がする。
どうやら、ようやく佐伯教授のご到着らしい。
佐「おや、君は…」
一瞬驚かれるもすぐに目が細められた。
あぁ、笑っていらっしゃるな…これは。
「腹部大動脈瘤の破裂です。急患のご様子でしたので───」
患者の血圧も安定してるし、その場で一通り今の現状をお伝えすると、佐伯教授は満足そうに頷いてこれから佐伯式を行うことをその場にいるみんなに告げた。
これで私の役目も終わりだろう。
みんなが配置に着いたのを見届けて、私は第一オペ室を後にした。
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます！そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね！ (2018年6月30日 23時) (
レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます！このお話とても好きなので、これからも頑張ってください！ (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね！これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年6月9日 2時
