朝ご飯 ページ39
征司郎からの電話を切って、少し世良くんと権の字と話した後は、患者のカルテを整理したり、交代で仮眠を取ったりしていたら夜が明けた。
朝になって段々と医局に人が増えてきたから、私は朝ご飯取ることにする。
ダンボールから征司郎の炊飯器を拝借して、お米を炊いている間にシャワーを浴びて着替えを済ます。
メイクも軽くして医局に戻ると、これまた、シャワーと着替えを済ませた世良くんとばったり遭遇した。
「世良くん、これから朝ご飯？」
世「はい。コンビニにでも行こうかと思って」
よく見れば手に財布が握られている。
「じゃあさ、一緒に食べない？」
仮眠室を指差して言うと首を傾げる。
でもすぐにニッコリ笑って頷いてくれた。
仮眠室の扉を開けて中に入ると、まだ炊飯器の蓋は開けていない筈なのに、炊けたお米のいい香りがして驚く。
奥を覗くと、蓋の開いた炊飯器の前に猫ちゃんが立っていた。
手にはお茶碗としゃもじが握られている。
猫「世良先生も食べるの？」
世「えっ？あ、はい！」
猫ちゃんは世良くんの返事を聞いて、三人分のお茶碗にご飯をよそい始める。
私は、更衣室から医局へ戻るときにコンビニで買った卵と醤油、それから割り箸を机の上に取り出した。
猫ちゃんがよそってくれたご飯に卵と醤油を落として混ぜれば、美味しそうな卵かけご飯の出来上がり。
私を挟んで世良くんと猫ちゃんが座ると、三人揃って手を合わせた。
「「「いただきます」」」
ほかほかと湯気を立てる黄色を身に纏ったお米を口に入れて咀嚼する。
程よいお米の甘みが口いっぱいに広がった。
世「美味しいですね」
「ね！日本人の身体は、お米で出来てるの。だからお米は大切」
この言葉は征司郎のお母さんである春江さんから聞いた言葉。
一緒にご飯を食べた時によく言っていた。
本当に、その通りだと思う。
「だから、どれだけ忙しくてもご飯はちゃんと食べること。これは先輩からのアドバイス」
卵かけご飯を掻き込む世良くんに向けて言うと、「はい！」と元気のいい返事が返ってきた。
うむ。素直でよろしい。
これだけ素直で純粋な研修医はこのご時世中々に珍しいものだ。
真面目で努力家。
それでもって人当たりも良い。
いつも一生懸命で、あの征司郎にすらも食らい付く根性のある子。
そんな印象を持つくらいには、私は彼のことを気に入っている。
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます！そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね！ (2018年6月30日 23時) (
レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます！このお話とても好きなので、これからも頑張ってください！ (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね！これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年6月9日 2時
