治験 ページ31
「失礼します」
ノックをしてドアを引いた先、患者である山本さんと何やら話をしている看護師の花房美和ちゃん、それから研修医の世良くんが居た。
山「ここを押せば、血管が浮き出て見やすくなるの」
花「本当だ…！」
どうやら点滴時の血管の探し方について話をしているらしい。
山本さんは現役の看護主任の方で、こうやって点滴に訪れた看護師に色々とご指導頂いている。
「こんにちは。お体の調子はどうですか？」
山「こんにちは、北見先生。元気ですよ」
顔色も良く、どこか体調が悪そうな様子もない。
世「診察時にも特に問題はありませんでした」
カルテを受け取ってサッと目を通す。
特に問題は無し。
これなら大丈夫そうだ。
「山本さん、今日はお話があって来ました」
ドアを開けて外で待っていた人物を中に招き入れる。
「新たに担当医となった黒崎先生と、オペまでのケアを私と共に担当する高階先生です」
山本さんは元々征司郎の担当患者だった為、一時的に私が診ていたが、正式な担当医は黒崎先生となった。
これは佐伯教授の指示だ。
おそらく、カエサルでの治験を承諾して頂き、黒崎先生に執刀を任せるつもりで担当医にしたのだろう。
山「宜しくお願いします」
互いが挨拶を済ませる。
さて、ここからが本題だ。
「山本さんのオペについてなのですが、一つご提案がございます。カエサルという国産ダーウィンの事はご存知でしょうか？」
山「はい。耳にしたことはあります」
「そのカエサルは今、治験の段階に入っています。そこで、山本さんにその治験を引き受けて頂きたいのです」
高「詳しい話は、治験コーディネーターの方からさせて頂きます」
権の字の後ろから木下さんが進み出てくる。
歩く姿まで本当に美人な人だ。
木「この度、担当させて頂く治験コーディネーターの木下で……」
山本さんの前に出た途端、木下さんの言葉が止まる。
どうしたのだろうと横から少し覗き込めば、白い顔からサッと血の気が引いていた。
「木下さん？如何されました？」
木「すみません。失礼致します」
黒「あ、おい！ちょっと、君！」
青白い顔のまま、権の字と黒崎先生を押し退けて木下さんは病室を飛び出していく。
山「どうして…あの人が…」
山本さんも怯えた様な驚いた様な顔をして、木下さんが出て行った方向を見つめている。
…どうやら、何かありそうだ。
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます！そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね！ (2018年6月30日 23時) (
レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます！このお話とても好きなので、これからも頑張ってください！ (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね！これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年6月9日 2時
