甘やかし ページ23
渡「何してんの」
小一時間程で戻ってきた征司郎はソファに座って腕を広げる私を見て眉間に皺を寄せる。
「いや、抱き締めてあげようと思って」
征司郎が戻って来るまでに、どうやったら疲れを癒やしてあげられるか考えたが全く思い浮かばず。
結局ハグという結果に辿り着いた。
脳内には『オキシトシン』という幸福感を感じた時に出るホルモンがあるらしく、ハグをするとそのホルモンが分泌されるらしい。
このオキシトシンが分泌されると、血圧の上昇が抑えられ、呼吸が深くなる。
つまりは癒やし効果がある、と言うことだ。
ならばもうハグでいいだろう。
渡「何企んでんの」
「何も企んでないから。アンタと一緒にすんな」
私は純粋に征司郎を心配しての行動だと言うのに。
渡「まぁ、いいよ。じゃあ遠慮なく」
征司郎は白衣を着たまま私を抱き締めて来た。
互いの体温が伝わって来て身体が温かくなる。
触れ合った所から"トクトク"と心音も伝わって来て、何だか安心する。
深く息を吸い込めば、また征司郎の匂いが鼻を通っていく。
なるほど、ハグには癒やし効果があるとは本当の事のようだ。
少し疲れが取れた気がする。
医学的に解明されているとはいえ、こういうのは気持ちの持ち様ではあるだろうけど。
猫ちゃんは既にここから居なくなっていて、静かな仮眠室の中に二人分の呼吸音だけが響く。
カーテンの隙間から見えていた空は茜色から紫へとグラデーションに変わっていた。
その空を見て、ふと昔の事を思い出す。
「そういえばさ、昔、泣き虫な私をよく抱き締めてくれたよね」
渡「…んなこともう忘れた」
「私は覚えてるよ。……それに、あの時だって。只何も聞かずに涙が止まるまで抱き締めてくれた」
私が辛いときいつだって側にいて支えてくれたのは征司郎で。
どうしようもなくて、藻掻いて苦しんでるときに手を差し伸べてくれたのだって征司郎だった。
「征司郎。いつもありがとね」
渡「ん」
「お礼に今度から、偶にこうやって抱き締めてあげるよ。ハグには癒やし効果があるらしいから」
渡「何だそれ。…まぁ、好きにしろよ」
こんな事言っといて、本当に癒やされたいと思っているのは私なのかも知れないけど。
ハグなんて出来るのは征司郎とくらいだし。
疲れてる時くらいちょっと甘えておこう。
私は征司郎の背中に回した腕の力を少しだけ強めた。
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます！そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね！ (2018年6月30日 23時) (
レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます！このお話とても好きなので、これからも頑張ってください！ (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね！これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜月 | 作成日時：2018年6月9日 2時
