久しぶり ページ15
高「久しぶりだな、A」
私の元へとやって来て、にこやかに笑うのは高階権太。
通称、権の字。
「ひ、久しぶり…なんで…こんなとこに…」
高「私も驚いたよ。君が東城大にやって来るなんて」
驚きすぎて、再会を喜ぶどころじゃない。
だって彼は、帝華大に帰ったはずなのに。
世「あの、すみません、高階先生。やっぱりお知り合いなんですか?」
青年が困惑したような表情で権の字を見ている。
高「アメリカに居た時同じ病院で一緒に働いていたんだ」
彼とはアメリカの病院で出会った。
同じ日本人なこともあり、直ぐに意気投合した上に、手術での相性が良かったからよく同じオペのチームに組まされていた。
高「君に聞きたいことは山程あるが、一先ず世良くん、自己紹介をしようか」
世「あ、はい!研修医の世良雅志です。よろしくお願いします」
彼が研修医と言うことは、おそらく水色のスクラブを着ている人たちが研修医なんだろう。
若い子が多かったし。
「改めまして北見です。宜しくね世良くん」
手を差し出せばにっこり笑顔で握り返してくれた。
うん。好青年だ。間違いない。
高「さっそく荷物を運ぼう。医局にも案内するから付いて来てくれ」
「はーい。よろしくお願いします!」
本当は院内のこと、既に知り尽くしてるけど…ここは大人しく権の字と世良くんに従っておこうと思う。
ロッカールームから資料やら医学書やらが入った段ボールを持ち出して、医局へと向かう道中、前を歩いていた世良くんがこちらを振り返った。
世「あの、北見先生。1つ質問してもいいですか?」
「うん?私に答えられることなら」
世「さっき、緊急オペがあったんです。そこで女医の方が腹部大動脈瘤の執刀をしていらっしゃったんですけど…」
「あぁ、その女医が私じゃないのかって言いたいのね」
世「はい」
「ふふ、正解だよ。執刀してた女医は私」
世「やっぱりそうですよね!あのオペ、最後の方しか見れませんでしたけど凄かったです」
「ほんと?ありがとう」
高「Aはこう見えても結構な数のオペをこなしているし、腕は立つよ」
「権の字にもそう言ってもらえるなんて光栄。まぁ、腕の良い医者に成れるようそれなりに努力はしてきたよ」
腕のない医者は死んだ方がいいからさ。
その言葉は、言わずにぐっと呑み込んだ。
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霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» ご指摘頂けて本当に助かりました。ありがとうございます!そう言って頂けると本当に嬉しいです♪更新頑張りますね! (2018年6月30日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 霜月さん» いえいえ、わざわざありがとうございます!このお話とても好きなので、これからも頑張ってください! (2018年6月30日 14時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» 誤字のご指摘ありがとうございます!修正致しました。 (2018年6月30日 13時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 「掛かっきた電話」ではなく、「掛かってきた電話」ではないでしょうか(・・?) (2018年6月30日 8時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - たぷたぷさん» コメントありがとうございます。佐伯教授、素敵ですよね♪機会が作れたら書きますね!これからも宜しくお願い致します。 (2018年6月28日 23時) (レス) id: 830a43c59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜月 | 作成日時:2018年6月9日 2時