英雄ヒーロー3 (ページ3)

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英雄86 ページ3

side

ふと見かけた後ろ姿が気になって
僕らしくもなく後を追った

日が差す通路に赤と白の彼と緑谷が向かい合うようにして立っているのを
彼らから見て奥の暗い通路で盗み聞きしている僕がいた

気休め程度に気配を消して声が聞こえてくるのを待っていると
そこに訪れるとは思わなかった人物が現れた

彼はいつものように僕を睨みつけ、声を発しようとしたが

僕が彼との間の通路、緑谷達がいる方へ目線をチラリと送るとやはり彼はこれに気付く人で
彼もまた緑谷達に気付くと僕を再び見て壁に寄りかかった

……君も聞くんだ

緑谷｢あの…話って…何？
早くしないと食堂混みそうだし…
えと…｣

轟｢…気圧された
自分(てめぇ)の誓約を破っちまう程によ｣

緑谷から始まった会話

赤と白の彼の個性(ちから)は…
氷ともう1つあるんだっけ……緑谷が何か言ってた気がするけど

彼に氷じゃない力があるとして、その力を使わないことが彼の言う誓約なのだろうか

轟｢飯田も上鳴も八百万も常闇も、麗日も感じていなかった。最後の場面、あの場で俺だけが気圧された
本気のオールマイトを身近で経験した俺だけ｣

緑谷｢それ……つまり…どういう……｣

轟｢お前に、同様の何かを感じたってことだ｣

声だけしかわからないけど緑谷の動揺がわかる

緑谷と、緑谷の憧れているあの人との秘密…
彼に気付かれたのか……

轟｢緑谷、お前……｣

緑谷｢っ……｣

｢………｣

轟｢オールマイトの隠し子か何かか？｣

……何でそうなる

通路を挟んだ彼もまた驚いているようだよ…

轟｢どうなんだ｣

緑谷｢ちっ違うよそれは！って言ってももし本当に隠し子だったら違うって言うに決まってるから納得しないと思うけど！
とにかくそんなんじゃなくて…！｣

落ち着いて、余計バレるよ

緑谷｢そもそも逆に聞くけど…なんで僕なんかにそんな…｣

轟｢そんなんじゃなくてって言い方は、少なくとも何かしら言えない繋がりがあるってことだな｣

緑谷｢っ！……｣

……鋭い。よく人を見てる
なのにどこか鈍い気がする…

けど、以前彼を見た時には緑谷に対してそういった感情がなかったようだった

この行事前の2週間の間、又はあの事件がきっかけでそう考えるに至ったことがあったのか…

これといって緑谷から赤と白の彼の話を聞いた覚えはないけど…