I need you！ vol.2 (ページ36)

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How？ Ⅲ M ページ36

ある豪華一軒家を借りての配信番組ロケ。
１０年間の俺たちの足跡をファンから出されたクイズで振り返る企画。スタッフさんはその場にいない。インカムもなし。指示はモニターに打ち出されるから、自由な俺たちを見せてくれと言われた。ファンは、普段の俺たちの素の姿が見たいからだって。

軽食や飲み物、クイズに必要な小道具も全て用意されている。
楽しいけど、何問か答えたらお腹が空いてきちゃったな。

『おい、宮田っ！ちょっとお前、俺の分持ってこい！』

…あ、コレ？俺限定ガキ大将。時々顔を出す。
てか、それも可愛いんだけどね。タマが急に乱暴に名前呼ぶのは《構ってちょうだい！》の合図だから。

はいはい。でもその前に…。

俺はタマの膝にエクストリーム膝枕をキメた。

自由すぎるか？でも気持ちいい。
タマの膝、丁度いい高さなんだよね。
舞台中だし、今日も仕事ぱんぱんだったから…ちょっと、疲れちゃった。

『……お腹減ったね。』

タマが呟く。
俺に言った？

『お弁当食べた？』

答えない俺の頭をツンとつついて。
あ、俺に言ったのね。

『食べてな〜い。』

このまま寝ちゃいたい。
タマに甘やかされた〜い。
あー、でもコレはお仕事でした。今はしっかり起きねぇと。

『ね、うち来る〜？』

帰る時、タマが帽子を被りながら訊いてくる。
今、タマに甘えたくて仕方ない気持ちを見通したように誘われた。そりゃバレるか。
でも、もうちょい頑張らないといけないから、我慢させてもらおう。

『んにゃ……帰って寝る〜。』
『……あそ。ふあ〜あ。』

あ〜、デカい口〜…。
大欠伸してるタマの口に、吸い込まれるように人差し指を突っ込む。

『んがっっ！！？な、何？』
『なんとなく…。』
『なんとなくぅ？？…ひょっとしてかなり眠いの？』

ん。今ならどこでもすぐ寝られる。

『ったく、この子は。ぼぉんやりしちゃって…マネージャーさ〜ん、帰りは俺と宮っちで乗せて〜！』

訳が分かんないまま車の後部座席に引っ張り込まれると、ハイっ！とタマが自分の膝を指差した。

『家まで貸してやる。』

……そうか。甘やかしてくれるのか。

理解した俺は、すぐにタマの膝に頭を預ける。
柔らかくてほんのりあったかい。タマの呼吸や血流に合わせて穏やかに動く枕。

タマの膝枕、大好き。

そう呟くと、頭の上から優しい声がそっと返ってくる。

『俺も……好き。』

車の振動とタマの愛情。
極上の眠りに落ちる……幸福の溜息。

fin.