Oh！Brothers！ �� K ページ26
我が弟たち、本日も元気だぜ。
『行くよ〜。』
『ちょっと待って〜。』
『ボタン止まらない〜！』
『眠っ！』
『今？今なの？？』
朝から晩まで７人でお仕事。最近みんなで収録とかロケ多いの。
なんでって？
俺たち、デビュー１０周年記念日を迎えるんです。
で、その日に１０年分のベストアルバムも発売する。そのプロモーション期間なんだよね。次々と取材や番組出演。
まだまだ、どんとこいっ！
ドラマ撮影もこなしながら、今しかできないことをやる。最高かよ。
結成してデビューまでに６年、デビューしてから１０年。１６年もコイツらといるんだな、俺。
赤ちゃんが高校生になるくらい一緒にいるってことでしょ？いや、びっくりよ。
そういや昔は、ほとんど毎日一緒だったな。
ーーでは、これからの未来像、夢を聞かせて下さい。
『全ジャンル進出。』
『ドームツアーを続ける。』
『新しい扉を開ける。』
『違う顔も見せて…。』
『やってないこと全て！』
おし、全部やるか！
『俺は…７人でいる。どんなに困難でも絶対に叶えたい夢ですね。』
宮田の明るいその声が、やけに胸に響く。
その夢は、簡単なようで実は虹のように儚い。
たくさんの先輩や後輩たちの苦悩を見てきた。安泰だと思っていた中井さんのグループでさえ、道を分かつ日を選んだ。
その余波は、時に大きな波となって俺たちに襲いかかる。
虹に辿り着く為に俺たちに与えられた舟はとても小さくて、いつひっくり返るか分からない。
俺たちは小舟の中で必死に身を寄り添わせていた。他人が立てたマストの下で。
懸命に腕を伸ばして縋り付いたロープは危なっかしいほど細くて。
それでも、その向こうにある虹に向かって、俺たちは手を伸ばし、空を掴んではまた手を伸ばす。
細いロープなら強くすればいい。自分たちで材料をかき集め、応援してくれる人々の助けを借り、それぞれがそれぞれの方法でロープをあざなった。
そうやって互いを育て合い、支え合い、ベストを尽くす。
そう。諦めないのは７人だから。
諦めそうになり、波の中へ落ちそうになっても、引き上げてくれるその手があるから。
俺の手も掴んで離そうとしない６本の手と絆を繋ぎ止めながら、俺たちはまた前へと漕ぎ出していく。
あの虹を掴む為に。
……まぁ、と言ってもまだまだ１０年なんだけどさ。先は長いのよ？
え？俺の夢？
『７人でまだ見たことのない景色を見たい…かな。』
みんながにこりと微笑んだ。
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みあん | 作成日時：2021年5月11日 23時
