ひとくふう荘14 (ページ21)

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そう感じたのはほんの一瞬。
だけど、聞こえる。タマさんの心臓の音。早い。
少しだけお手手が冷たくなるほど緊張してる。
なんだか僕まで緊張した。

それから、タマさんはお父さんから無理矢理視線を外した。

『ところでみんな…本当にいいの？《たま護り》手伝ってくれるの？？』

タマさんが眠るミヤタさんのお膝にお手手を置いたまま恐る恐る訊ねた。
キタヤマさんたちはお鼻で笑ってみせる。

『聞いてたべ？俺たちがやらずに誰がやんの。』
『ここまできてやらないほうがイヤだわ。ワッターみたいに仕事が忙しい時は交代制とか導入しよ？』
『後悔はしたくないし、７人いるんだからタマだけが背負うこたにゃあよ。』

みんなの笑顔が沁みます。
そうだよね。僕だって頑張るよ、タマさん。
だって番犬だもん。僕の領域は僕が守らなきゃ！

みんなはわいわいと、いつ終わるとも分からないこれからの戦い方を考え始めた。

『ゆる〜く役目割り振ろうよ。畑中心に管理する係とか結界管理する係とか連絡係とか…。普通の人間だしさ、ガチガチに責任持つってよりはまぁ自分の係について知識や手段を追究する専門家になれるよう努力する感じで。』

『もしいざ戦わなきゃいけないって時は、俊くんに龍さんを表に出してもらったらいいよな？結界つくれて馬鹿力ってマジ千人力じゃね？？で、ドンブリにキツネさん呼んでもらって、俺たちはフォローする。』

『必ずビデオ回してさ、研究してかない？』
『それええわ。俺が編集やるで。』
『アヤカシってビデオ映るの？？』

『………みんな、ありがと。』

タマさんはそっと頭を下げる。

やっぱりココは《ひとくふう荘》。
そんなみんなと生きることが、こんなに誇らしくて嬉しくて。
うん。みんなのお力を合わせれば…。

僕は思わずしっぽを振った。

でも……そして僕は途方に暮れる。

お父さんが、まだ何かとてつもなく重要なことを隠してらっしゃるのは間違いない。
タマさんが、リュウさんから何か信用できる情報をお聞きしたのも間違いない。
しかもその情報は、タマさんが他の６人を遠ざけなければと思うようなことで、お父さんの前では大っぴらに口に出せないこと。

…キツネさんなら分かるのかしら。
またチラッとキツネさんを見る。
トシコさんは僕たちを見ながら、ずっと何も言わない。

キツネさんは…いいの？
《たま護り》にお力貸してくれる？？

『勿論。それは私の新しい役目となるだろうから、遠慮なく私を使いなさい。』