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『俺ハ美シイ…俺ハ醜イ…俺ハ美しイ…俺ハ…醜イ…俺ハ醜い。』
……それにしても、さっきから《美しい》と《醜い》にこだわるね!
ねぇ。あなたの仰る《美しさ》って、なぁに?
『アア?……う、《美シサ》ハ………《評価》。』
ヨシヤマさんは、僕の問い掛けにそれまでの乱暴な調子を忘れたかのように少し口籠もり、自信無げに呟いた。
えと〜…そか。《評価》かぁ。他の方の価値観からの審断ということかしら??
僕は犬だからよく分かんない。…ん〜。見ててびっくりするほど気持ちが良くて、ずっと見てられるものを《美しい》と思うかなぁ。
あなたから見て僕は《醜い》。でも《可愛い》って言って下さる方もいるよ。
あなたはどんなことを《美しい》と思ってるの?どんなものなら《醜い》の?
『……分からナイ。彼は美シい…鼻ハ高クナイけど丸い顔、大キナ瞳、可愛イ声…優シクテ、明ルクテ、素直デ、努力家デ…愛オシイ……ナンテ彼は美しイ…。俺ハ、醜い。』
あー、落ち込んでます?いやいや、僕、そんなつもりじゃなかったんですぅ!!
どんどんお肩を落として俯いてしまったヨシヤマさんに、僕は慌てちゃう!
先程の勢いは何処へやら…というか、こちらが本当のヨシヤマさんなのかも。
てか《彼》って、だぁれ?
あなたの《願い》ってなぁに?
《美しさ》にこだわっているのはアヤカシさん?それともヨシヤマさん??
『……吉山くん、恋してるの?』
うっ。ヨシヤマさんに持ち上げられたまま、後ろ向くのタイヘ〜ン!
くるんとヨシヤマさんがお身体をお声のほうに向けてくれたので助かります…いや、助かってはないんだけど。
あら?ぴんくのお相撲さん…じゃなかった、着ぐるみさんが立ってます。いつの間にか色とりどりの着ぐるみさんが7体とネコさんのクラタさん、いらしたすたっふさんたちの代わりにヨシヤマさんの周りを取り囲んでる。もももんっとお身体寄せてるとこはおっきなおまんじゅう…。
……い、威圧感が半端ありませ〜ん。
ところで、ぴんくさんって中身はどなたでしたっけ?
『吉山くんはカッコイイじゃん。なんで醜い訳?やっぱり誰かに恋してるから気になるんだ??』
ぴんくさんはとても可愛らしいお声…でも大人の男の方だよね。…何処かで聞いた気が?
お手手振り回しながらヨシヤマさんに近付いてくるぴんくさん。
『……もしかして宮田くんが好き?ダメだって言ったでしょ??彼にはもう《嫁》がいるんだもん。諦めなきゃ。』

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作者名:みあん | 作成日時:2022年8月6日 0時