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ドンブリとお父しゃん。ゴ。 ページ44

『ドンブリは食いしん坊っちゅうやっちゃなぁ。何でも口に入れたがる。せやけどな、人間が食えるもんでも犬はあかんもんもある。命に関わるもんもあるから気ぃ付けなあかんねん。』


ただいま、おしゃんぽ中に僕が道に落ちてたカミを食べたとしかられてましゅ。
お父しゃんにお鼻ぎゅっとされたからしゅぐに出したのに〜。
あうぅ。お父しゃんのお顔見られましぇん。

………ぐしゅん。だっておにくの匂いがしたんだも〜ん。いいもの見つけたと思ったんだも〜ん。
人間ばっかりおいしいのズルいなぁ。


『野生では食べられそうなもん見つけたらすぐに口に入れんと次に食べられるのはいつになるか分からん。
せやけど、人間の世界で人間が飼うてる動物はまた違う生き方をせにゃならん。人間が食うもんは糖分と塩分が多い。落ちてたらバイ菌もあるし腐ったもんもあるし、紙やビニルは腸が詰まる。人間の生活に慣れた動物の免疫力は野生の動物の免疫力より…ドンブリ聞いてるかぁ?』


あ〜ん!もぉたっぷりはんしぇいしてましゅから〜っ。くどくどしからないでぇ、お父しゃん!

う〜。お父しゃんおはなししだすと長いんでしゅ。
だから〜、僕はなんだかモンク言いたくなって、お父しゃんのお顔をそうっと見たの〜。


…………あらら?お父しゃん、哀しそぉ。


『…あ、想像したらめっちゃ嫌んなったわ。お前に何かあったらお父さん死ぬわ。多分もう絶対金輪際立ち直れへん……あかん、宿命なんぞくそくらえじゃ!』

お父しゃんのおめめにお水ピカピカ。いまにもこぼれちゃいそう。


……僕、知ってるよ?
それはナミダっていうんでしょー?
え?僕が落ちてるもの食べたらお父しゃん泣いちゃうの!?
ご、ごめんなしゃ〜いっ!
そんなに悪いことだなんて知らなかったのぉぉ!
お父しゃんを哀しませるつもりなんてなかったの!


僕はおもわずお父しゃんのおひざにおて!

とつぜん出されたおててにお父しゃんはびっくり。
僕はもぉたまんなくてお父しゃんのおむねにとびこみましゅ。ぐりぐりあたまこすりつけちゃう!


お父しゃん、ごめんねぇっ!!
おめめのお水ひっこめ〜〜っ!


お父しゃんは僕をぎゅうぎゅうだっこしてくれましゅ。


『我が人生最後に愛する者……その名はドンブリ。我が言祝ぎよ、この命に纏い給え。ああ、御守護賜わらんことを。』


お水がぽとんと僕のおはなに落ちてきた。
ぺろんとなめるとしょっぱぁ!


まるで海のお水みた〜い!
…行ったことないけど〜。



fin.

ドンブリはお引っ越しソバにいたい。→←12



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作者名:みあん | 作成日時:2022年8月6日 0時

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